可愛い愛犬がおうちに来た日から、絶対に訪れることが決まっている別れの日。
想像するだけで涙が滲むという方も多いのではないでしょうか。
たくさんの愛情を注いで、また愛情を返してくれる愛犬を失う悲しみから逃れる方法はありませんが、受け入れ、乗り越えていかなければいけません。
どのように受け入れるか、そして乗り越えていくのか、を考えてみたいと思います。
目次
ペットロス(症候群)とは
ペットロス症候群(ペットロスしょうこうぐん)とは、ペットと死別したり、ペットが行方不明になったり、盗難に遭ったりしたことなどを契機に発生する、疾患ないし心身の症状のこと。(Wikipedidaより)
愛する家族であるペットを死や行方不明などの状態になり失うことで、愛情が行き場をなくし引き起こされる症状だと言われています。
精神的な疾患や身体症状を伴う場合も少なくなく、2000年ごろから日本でも注目を集めるようになってきました。
症状としては、うつ病、不眠、情緒不安定、摂食障害、ペットの声が聞こえる幻聴や、姿が見えるような気がする幻覚など、個人によって程度の差や症状の差があります。
また、大切なものを失うことで自分を責めたり、他者を責める事もあるようです。
程度の差こそあれ、大切な家族であるペットを失う悲しみがペットロスです。
ペットロスのステップ
愛犬との別れや死に対して、人と同じで一般的に、否定から始まり、交渉、怒り、受容、解決と段階を踏んで行くと言われます。
否定
第一段階の否定は、死を受け入れる事を心が拒否するために起こります。
「まだ死んでいない」「どこかで生きている」と死を信じたくない、認めたくないといった心が、愛犬の死に対する精神的ショックを和らげるとも考えられます。
交渉
第二段階の交渉については、交渉?と不思議に思われるかもしれませんが、愛犬が亡くなった時、いなくなったときに「どうかこの子を助けて下さい」「何でもするから返して下さい」と言った心の中での神様との交渉です。
この交渉はもちろんうまくいく事はありません。
そのため、第三段階である怒りに変わっていきます。
怒り
第三段階の怒りは、飼い主様自身に向けられたり、獣医師に向けられたり、家族に向けられたりとさまざまですが、愛犬の死への後悔や悲しみがやり場のない怒りとなって自分や他者、物に向かったりしてしまいます。
受容
第四段階の受容。怒りが落ち着いてくると、徐々に気持ちも落ち着いてきて、愛犬の死を受け入れる準備ができてきます。
悲しみや喪失感、後悔、孤独感はすぐには消えることはありませんが、その感情のまま過ごしていても、愛犬が戻って来ることは無いのだと理解し始めます。
そうして、愛犬との楽しかった日々やたくさんの幸せだった時間を思い出すことで、ゆっくりと愛犬の死を受け入れていきます。
解決
第五段階の解決は、死を受け入れ悲しみが薄らいでいき、飼い主様自身が立ち直ることです。
愛する子を忘れるということではなく、一緒に過ごしたかけがえのない日々を大切にし、飼い主様自身が前を向いて心身の健康を取り戻し、普通の生活に戻る状態です。
徐々に薄らいでいく悲しみを、忘れてしまう薄情な飼い主ではないだろうかと、また自分を責める飼い主様もおられますが、愛する子たちは必ず自分よりも先にお別れの時が来てしまいます。
大好きな飼い主様が後悔や罪悪感を抱えて生きていくことを、愛する子たちは望んではいない事でしょう。
一緒に過ごしたかけがえのない時間を大切にしながら、一歩ずつ日常へと戻っていきましょう。
軽減していくために
悲しみをごまかさない
失った悲しみをごまかして無理をせず、まずは心のままに思い切り悲しみましょう。
我慢をしたり、悲しみを表すことに抵抗がある飼主様もあるかもしれませんが、悲しいと言う自分の心にウソをつき隠しても、その時に思い切り悲しめなかった自分への後悔となりまた心に一つ傷を負ってしまいます。
感情のままに思い切り泣いてしまうことが、悲しみを乗り越える第一歩です。
悲しい、つらい、と声に出して吐き出しましょう。
同じ悲しみを経験した人や信頼できる人に、悲しみを吐露するのも一つの方法です。
同じ辛さを経験したからこそ、理解してもらえ、悲しみの軽減方法を教えてもらえるかもしれません。
しっかりとした供養を行う
愛犬を失う一番多くの原因は老衰と言われます。
シニア期に入ると一年一年を大切に過ごす飼主様が増えると思いますが、その一年一年の時間に、お別れに対する心を少しずつ備えていかなければいけません。
元気いっぱいだった青年期を過ぎると、愛犬たちもゆったりとした動きが増え、年を取ったと思う場面が多くなります。
けれど、過ごした時間がひとつひとつ蓄積され深い絆が結ばれた分、愛情が増えるのがシニアの愛犬たちです。
シニアになれば当然、その先にお別れのときが訪れると言う事を忘れずに、日々の時間を大切に過ごしましょう。
そうして、その時が来たあとは、飼主様が納得のできる供養をしてあげましょう。
供養の方法は様々です。
葬儀を行ったりペット専用のお墓や慰霊塔、自宅のお庭などに納骨したり。
大好きだったおもちゃや毛布などを整理する中で受け入れていき、悲しみと混乱の気持ちを整理していくことができます。
たくさんある写真をフォトブックにしてみたりするのも、思い出を振り返りながらできる供養の一つかもしれません。
仏壇に手を合わせ、お水を変えてお花を供え、毎日想う。
たとえ肉体が遠くにあっても、心の絆はすぐそばにあるはずです。
無理やり忘れていくのではなく、旅立った後も絆をつなぎ続けることで、悲しみを受け入れることができるようになります。
新しい子を迎える
新しい子を迎えて悲しみを乗り越える方法もあります。
亡くした子に対する罪悪感や失う悲しみをもう二度と味わいたくないと思う人に新しい子を迎えることを勧めることはできませんが、新しい子を迎えることで悲しみを乗り越えることができることもあります。
ペットロスを体験した人は、次は保護犬でと思う方も多いようです。
保護犬や繁殖リタイアをした子を引き取ることで亡くした子の温もりを想い、辛い思いをしてきた新しい子に愛情を注ぐことができるのではないでしょうか。
小さな子犬の愛くるしさやしぐさに、悲しみが和らぐと言うのもあります。
時間が経ち、また温もりに触れたくなったときに、新しい子を迎えることを考えてみても良いのではないでしょうか。
最後に
悲しみの形はそれぞれで、亡くす理由も原因もそれぞれのペットロスですが、失った事への悲しみは共通しています。
愛する家族をどのような形であれ亡くすことは耐え難く、立ち直るには時間がかかります。
それでも、私たち飼主はその子を想い、前を向いて生きていかなければなりません。
やんちゃだったり、怖がりだったり、食いしん坊だったり、芸達者だったり、家族の真ん中でいつも家族に寄り添い、甘えてくれるかけがえのない存在を失う悲しみは簡単には消えません。
我が子といつかまたお空で再会できる時まで、楽しかった記憶と思い出を胸に、一歩ずつ悲しみを乗り越えられるように。
失った時はたいていの人が、もっとこうすれば、ああすればと後悔し自分を責めてしまいます。
ですが、その後悔が少しでも少ないように。
愛犬との毎日の暮らしを、大切に過ごしていきたいですね。