愛犬が発するカーミングシグナルとは

愛犬たちの行動や心理を知る方法にカーミングシグナルと呼ばれるものがあります。
たくさんの種類がありますが、それらを知っておくと愛犬のコミュニケーションがぐっと深くなるかもしれません。

カーミングシグナルとは

カーミングシグナルとは、ノルウェーのドッグトレーナー、トゥーリッド・ルーガス氏が提唱するCalming Signalと言い、落ち着かせると言う意味のCalmingと信号や合図と言う意味のSignalを合わせた言葉です。

犬同士が発する非音声的言語の犬の行動心理学です。
カーミングシグナルは自分を落ち着かせる、相手を落ち着かせる、敵意がない、争いたくないと言った状況で現れやすく、不安を感じていたり興奮していたり緊張している時に見られます。

カーミングシグナルはすべての犬種に共通している、犬達のコミュニケーションです。
犬同士だけではなく、飼い主さんに対しても行われています。

カーミングシグナルは現在、27種類ほどに分類されています。

よく見られるシグナル

・口や鼻を舐める・・・初めての場所や苦手な病院などで緊張している時に見られる行動です。不安を感じているので自分と相手を落ちつけようとしています。

・視線をそらす・・・相手に対して敵意がない事を示します。他の犬にほえられたり飼い主さんに叱られている時に視線をそらしたり顔を背けたりして、自分は争う気がない事を伝えています。

・あくびをする・・・叱られている時にあくびをしている場面を見たことがある飼い主さんも多いかと思いますが、これは飼い主さんに対して落ち着いてほしい、怒らないで欲しい、と思っている時に行われます。叱られているストレスを和らげようともしています。

・舌を出す・・・相手を落ち着かせようと空を舐めるようにぺろぺろと舌を出しています。興奮している犬や飼い主さんに対し、落ち着いてほしいと感じています。

・口をパクパクとさせる・・・興奮状態の自分を抑えようとしています。遊びすぎて高ぶった時や、動物病院への途中で注射など嫌なことを思い出した時に見られます。

・身震いをする・・・濡れている時や汚れている時以外で身体をぶるぶると振るわせる事にも、意味があります。ストレスからの解放、それまでの行動が終わる時の行動、犬同士で遊んだ後や喧嘩のあと、あまり触られるのが得意ではない子の場合は、飼い主さんがスキンシップにと撫でた後に、自分を落ち着かせるためぶるぶると身体を振ることがあります。このような行動をとっている時は、ストレスや不安も同時に感じている事が多くありますので、怒っている場合や興奮している場合は、飼い主さんも一度落ち着いて、接してあげるようにしてみてください。

・お腹をみせる・・・飼い主さんには甘えている時に、他の犬や自分より強いと感じる相手に対しては相手に対し服従を伝えています。

・顔や口の周りを舐める・・・飼い主さんの顔や口周りを舐めるしぐさは、愛情や喜びを示しています。

・耳を倒す・・・飼い主さんに褒められたり撫でられたりするときに耳を倒して尻尾を振っている時は喜びを、知らない人や犬を前に耳を倒し尻尾を巻いていると恐怖や不安を感じています。耳だけを見てわからないときは、表情や尻尾と合わせて見てみましょう。

犬同士で見られるシグナル

・ゆっくり近付く・・・相手の犬を刺激しないように近づく時にゆっくりと弧を描いて動きます。自分が警戒している場合にも見られます。

・歯をカチカチと鳴らす・・・喧嘩腰の犬に落ち着いてほしいと伝えています。

・静止する・・・初めて会った犬に対し、自分のシグナルが通じているかを判断しています。敵意がない事が伝わっているか、また相手から発するシグナルを判断しています。

・背中を向ける・・・興奮している相手に敵意がない事を伝え落ち着かせるために行います。

・身体を伸ばし姿勢を低くする・・・特に尻尾を振っている場合は遊びに誘っているしぐさです。尻尾だけでなく身体全体を揺らし遊びに誘っている場合もあります。

・身体を横に反らす・・・敵意がない事を伝えています。

・横から近づく・・・犬同士でコミュニケーションがとっています。お尻の匂いを嗅いで交流を深めることも。

・正面に座る・・・落ち着いてほしいと思っています。怒っている飼い主さんの前に座ることもあります。その時は少し怒りを和らげてあげましょう。

・2頭の犬の間に割り込む・・・それ以上はダメだよとけん制しています。

・伏せる・・・相手を落ち着かせるための最上級のシグナル。何もしません、敵意はありません、服従しますと伝えています。

カーミングシグナルについてのまとめ

カーミングシグナルを知ることで、今まで以上に愛犬を理解し愛情も深まります。

自分が怒っている時にあくびをされたり目をそらされたりすると、つい馬鹿にされたような気になり余計に怒ってしまったり、犬同士が目を合わせて近づいて行くのを見て仲良し出来るかな?と全く逆な解釈をしていた、と言う事があったのではないでしょうか。

犬は言葉をしゃべらない代わりに、行動やしぐさで感情を伝えています。

犬同士であったり人と出会ったりと対象は変わっても、一生懸命自分の気持ちを伝えています。

嬉しい時も不安なときも、尻尾の動きや耳の動き、口の動きで飼い主さんに伝えているシグナルを知って、愛犬の不安やストレスを取り除き、より深い信頼関係と愛情で飼い主さんと愛犬が結ばれます。

犬が発しているシグナルを理解して愛犬のストレスや不安を取り除いてあげることで、愛犬との暮らしが一層楽しいものになることでしょう。