愛犬のワクチン接種!メリット・デメリットをよく考えて決めよう。

愛犬のワクチン予防接種を理解しよう

犬を飼う上で欠かせないのがワクチン接種による予防です。
ワクチンには様々な種類があり、法律によって定められているものもあれば任意で予防するものもあります。

多くの動物病院では年に一回の予防接種を勧めていますが、その理由や注射の内容を詳しく知らないまま、お知らせのハガキがくるととりあえず動物病院に行くという飼い主も少なくないはずです。

ワンちゃんの身体にかかる負担や病気のリスクを減らしてあげるためにも、愛犬家として守るべきマナーや法律を知るためにも、ワクチンのことをしっかり理解しておくことはとても大切です。

狂犬病の予防注射は必ず受けよう

犬が打つべきワクチンは、大きく分けて狂犬病の予防注射と混合ワクチンの2種類があります。
前者の予防注射は法律において年一回の接種が義務付けられています。

日本ではこの予防注射の接種率が比較的高く、またウイルスを持った野良犬自体がほとんどいないため狂犬病の発生ゼロの状態を長く維持できています。

しかし、日本から気軽に旅行に行けるような近隣諸国では今でもなお狂犬病の発生が頻繁に確認されており、感染した犬に噛まれて人間が死亡する例もたくさんあります。

万が一何らかのタイミングでこのような海外の国からウイルスが日本に入ってくる可能性も考えられ、そうなったとき、愛犬や自分たちを守る方法として狂犬病の予防接種を打っておくことはとても大切なのです。

また、愛犬が散歩中などに他の犬や人を噛んでしまったとき、狂犬病の予防をしているかどうかでその後の対処が変わってきます。

予防していなかった場合、隔離をしてウイルスの抗体価を測り、感染していないかどうかを数値化して証明する必要があります。
時間と手間がかかり、検査の費用ももちろん負担しなければなりません。

混合ワクチンで抗体を作っておくと安心

混合ワクチンは接種を義務付けている法律はありませんが、可能であれば打っておいた方が良いものです。

混合ワクチンに含まれているのは、感染すると重篤化(じゅうとくか)し死亡する可能性もあるウイルスの、抗原や毒素を弱毒化あるいは無毒化したものです。

簡単に言うとウイルスの実物を弱らせて体内に入れることになるので、それに反応した自己免疫が抗体を作ることができます。

抗体は初めて作るのには時間がかかりますが二度目からは設計図がある状態なのですぐに作ることができ、つまりいざ本物のウイルスに感染したとしてもすぐに抗体が作られ戦ってくれるので重症にならなくて済むという仕組みです。

野良ネコや野ネズミの糞尿、ノミやダニを初めとする虫がウイルスを媒介することもあるため、都内に住んでいても、散歩に出て他の犬と接触したりちょっとした草むらや公園に立ち寄ることがあるなら、接種しておいて損はありません。

ワクチンにはデメリットもある

ただし、これらのワクチンにはデメリットも存在します。
一番大きなデメリットは副作用があるということです。

狂犬病の予防注射も混合ワクチンも、実際のウイルスを弱らせたり無毒化したりしたものを体内に入れるため、免疫力の弱っている犬だと弱いウイルスでも発症してしまう可能性があります。

この場合は実際の感染よりも症状は弱く重篤化する恐れは低いですが、高齢や病気で免疫力が低下しているのがはじめから分かっている場合は、獣医師に依頼して接種を免除してもらうことができます。

【愛犬のワクチン接種を控えた方が良い場合】
・疲れている
・元気がない・具合が悪そう
・旅行やシャンプーが数日以内に入っている
・嘔吐・下痢をしている
・消化管内に寄生虫の感染の疑いがある
・他の病気の治療をしている
※特に、がんや自己免疫疾患
・発情、妊娠中である
・栄養状態が悪い
・4~6週齢に達していない子犬である
・高齢犬(シニア犬)である
・ワクチン接種後にアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こした経験がある※接種するかどうかを獣医に相談するといいでしょう。

特に狂犬病の場合は法律で接種が義務付けられているため、役所に届け出る際に猶予証明を提出すれば接種を免除することができます。

またアレルギーで顔が腫れたり熱が出たり、嘔吐や下痢をしたりという副作用が出ることもあります。

身体にとって異物を入れるため、どうしても体質的にそういった反応が出てしまう子もおり、その場合は次回から接種する前に抗アレルギー剤を打つと事前に防ぐことができます。

また一度接種してからしばらくするとだんだん抗体は減っていきます。

多くの健康な子は一年で効果が減退するため毎年打つことが勧められていますが、中には二年三年と抗体が持つ子もいます。

そういった子に毎年接種すると効果が強く出過ぎてしまう場合があるため、副作用が出る場合は二年や三年に一回にするというのも手です。

いずれのワクチンも、今ある病気ではなくいつかかかるかもしれない病気を防ぐために打つものなので、現実味がなく意味が薄く感じられてしまうかもしれません。

しかし、いま愛犬が健康に過ごせているのは、自分や周りの飼い主がモラルを持って予防接種に足を運んでいるからかもしれません。

法律で義務付けられていてもいなくても、愛犬の健やかな未来を考えるなら予防接種は欠かせません。

また、ドッグランやトリミングサロン、ペットホテルなどを利用する際には予防接種を打っている証明がないと利用できない場合も多いです。

これは他の犬との接触が想定されたり、周囲の環境上、そういった病気をもらってしまう可能性があるためで、周りに病気を移さないためにも、また周りから病気をもらわないためにも、予防接種は重要となります。