わんちゃんの糖尿病!知っておきたいことはこれだ

「人間がかかる病気は、ワンちゃんもかかる。」
よくこの言葉を耳にしませんか。
人間がかかる病気といえば、糖尿病もその一つ。
放置すると恐ろしい糖尿病について、私たちはどんなことを知っておくべきなのでしょうか?
ここでは、ワンちゃんの糖尿病について、知っておきたいことをまとめてみました!

犬の糖尿病って何?

糖尿病とは、皆さんご存じかと思いますが、尿に糖が出ること、また血糖値が上昇してしまう病気です。
ワンちゃんの糖尿病も同じなんです!

なんらかの原因で、ワンちゃんのインスリンの分泌や作用が不足すると、糖尿病を発症します。
そして残念ながら、一度糖尿病を発症してしまうと、完治することは非常に難しく、ワンちゃんは死ぬまで治療が必要になってしまうという厄介な病気なのです。

糖尿病には「Ⅰ型糖尿病」と「Ⅱ型糖尿病」がある、ということを聞いたことがある方も多くいらっしゃるかと思います。
ワンちゃんの場合は、このうちのⅠ型糖尿病を発症する場合がほとんどであり、Ⅱ型糖尿病を発症するワンちゃんは非常にまれだそうです。

中・高齢のワンちゃんに多く見られるI型糖尿病は、先天的な要因以外には、膵炎や免疫異常などが原因で膵臓からのインスリン分泌が不足し、発症してしまうといわれています。

一方Ⅱ型糖尿病は、ホルモン異常などが原因で、発情後や妊娠中に発症してしまったり、ホルモン性疾患が原因で発症します。

糖尿病はどんな犬種に多いの?

糖尿病は体質みたいなもので、犬種によっては糖尿病にかかりやすい犬種もあるそうです。
そこで、糖尿病になりやすい犬種をここでチェックしておきましょう。
糖尿病にかかりやすい犬種にのぼっていなくても、糖尿病になる子はいるので油断は禁物です。

<糖尿病にかかりやすい犬種>

ミニチュア・シュナウザー、トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフンド、ミニチュア・ピンシャー、ジャックラッセル・テリアなど。

ちなみに、ワンちゃんの糖尿病は、中高齢で発症することが多いそう。
7歳を超えると、糖尿病のリスクが上がってしまうそう。

しかも男の子より女の子の方が、糖尿病になる確率が2~3倍程度高いそう。
というのも、女性ホルモン(エストロゲン)がインスリンの作用を弱めてしまうからだそう。女の子でも、避妊手術をしている子は女性ホルモンの影響は受けません。

糖尿病を発症するとどんな症状が出るの?

ワンちゃんが糖尿病を発症すると、どんな症状が出るのでしょうか?
代表的な症状が「多飲」、「多尿」、「体重減少」です。

「多飲」といっても、どのくらいの量が多飲なのかわかりにくいですよね。
実際ワンちゃんが糖尿病になると、水を飲む量はどのくらい増えるのでしょうか?
糖尿病になると水をたくさん飲んでしまうわけは、体が高血糖状態になると、血管内にたくさんの水分がため込まれてしまうそうです。

そして、本当は細胞内に留まるべき水分まで血管内に出てきてしまうため、水分量が増えてしまい、腎臓は血管内で増えてしまった水を尿にして排泄させるのです。

水分が体の外に出てしまい喉が渇いてしまって、ますます水を飲むようになるため、多飲という症状が出るのだそうです。

また、水分がどんどん排出されるので「多尿」になってしまうわけです。
ワンちゃんの飲みすぎか否かの目安は、例えば体重10kgのワンちゃんが1日に1ℓ以上飲んでいる場合は、多飲状態と考えられるそう。

糖尿病の症状が進むとどうなる?

ワンちゃんの糖尿病に気が付かず、どんどん糖尿病が悪化してしまうと、糖尿病性ケトアシドーシスとなるそうです。

糖尿病性ケトアシドーシスというのは、細胞に糖分が供給されない状態が続いてしまうことで、ワンちゃんの体は脂肪をエネルギー源として使用するようになり、その代わりに「ケトン」という物質が作られてしまいます。
このケトンはワンちゃんの体を酸性化し、発症するそうです。

具体的には強い脱水、嘔吐、下痢、独特の口臭、さらに進行すると昏睡状態になり死に至ることもあります。そのため、「糖尿病性ケトアシドーシス」となった場合は迅速かつ確実な治療を行わなくてはなりません。

ケトアシドーシスになると、ひどい脱水症状や嘔吐、下痢になってしまったり、食欲不振が見られたり、元気が出ずにぐったりとしてしまいます。

また、独特の口臭から気が付く場合もあるそう。
どんどん衰弱していき、昏睡状態になり、最悪の場合は死に至るため、なるべく早く獣医さんに診ていただく必要があるのです。

糖尿病の合併症は?

ワンちゃんが糖尿病になってしまった場合、気になるのはどんな合併症を心配すべきかです。

主な合併症は、糖尿病性白内障、腎臓・肝臓の機能低下など。
糖尿病のせいで、細菌などに対する抵抗力が落ちてしまうため、様々な感染症にも注意しなくてはならなくなります。

ワンちゃんの糖尿病の診断方法は?

ワンちゃんに、多飲多尿や体重減少といった症状がみられると、糖尿病の疑いのため検査を受けるように勧められると思います。

糖尿病の検査としては、人間と同じように血液検査や尿検査が行われます。
血液検査では、糖尿病であれば持続的な高血糖が見られたり、ほかにも、高脂血症や低ナトリウム血症、高カリウム血症なども見られるそう。

尿検査では、持続的に尿糖が陽性になり、また糖尿病のワンちゃんは膀胱炎を発症していることが多いそうで、その場合は炎症反応や細菌が検出されることもあるそうです。

糖尿病とわかったら、原因究明のための検査としてレントゲン検査やエコー検査を行い、肝臓や膵臓、腎臓などの状態を確認してくれるそうです。

また、糖尿病のワンちゃんは白内障やぶどう膜炎、網膜症などの目の病気や慢性腎臓病を発症していることが多いため、これらの検査を勧められることもあるそうです。

ワンちゃんの糖尿病治療は?

糖尿病になってしまったら、どのような治療を受けることになるのでしょうか?
見ていってみましょう。

●インスリン治療

人間も、糖尿病の治療でインスリン治療を行いますが、Ⅰ型糖尿病になるとワンちゃんも同じようにインスリン治療を行います。

インスリン注射が始まりますと、ワンちゃんにあったインスリンを数種類のインスリンから選び、投与量などを設定し、定期的に血糖値の変動を見守らなくてはなりません。

また、インスリン注射は1日2回となり、時間帯もできるだけ固定する必要があるため、飼い主さんの生活も制限を受けると考えてよいでしょう。

獣医さんに注射の打ち方や器具の扱い方をしっかりと教えていただき、定期的な検診をきちんと受けていく必要があります。

万が一インスリン注射から低血糖を起こしてしまった場合は、症状として、元気がなくなったり、体温が低下してしまったり、けいれんといった症状がみられます。

その場合はかかりつけの獣医さんに連絡し、最適なインスリン量になるように調整していく必要があります。

●輸液治療

糖尿病によって多尿になり、体が脱水状態になっている場合は、必要に応じて輸液治療を行います。
特に糖尿病が進行し(悪化し)、糖尿病性ケトアシドーシスの状態になってしまっていたら、厳しいインスリン管理と輸液投与で、ワンちゃんの体内のに水分や電解質のバランスを改善していきます。

●食事療法

ワンちゃんの糖尿病では、療法食が処方されます。
療法食は、繊維質を多く含ませることで血糖値の急上昇を防ぐといった工夫がされています。

大切なのは、食事の時間や量を決めて、守ることです。
万一体重が減ってきてしまったら、糖尿病が進行していることも考えられますので、獣医さんと相談しながら量を決めます。

ワンちゃんが糖尿病にならないためには?

ワンちゃんの糖尿病予防の一番は、肥満に気を付けることです!
また、ストレスは健康の大敵なので、ワンちゃんのストレスレベルにも気を配りたいですね。

ストレス解消と肥満予防のために、毎日体をたっぷり動かせるとよいですね。
ちなみに、女の子の場合は女性ホルモンがインスリンの作用を減弱させることがあるため、避妊手術を受けると糖尿病予防になるということもあるようです。

終わりに

ワンちゃんの糖尿病、厄介ですね。
できれば、かかってほしくないですよね。

飼い主さんも、1日2回決まった時間にワンちゃんに注射をしたり、食事を療養食に変えてあげたりと、心配だけでなくお世話も増えてしまいます。

糖尿病にならないためには、肥満を予防すること、ストレスを溜めさせないこと、食事に気を付けることが大切です。

特に中高齢のワンちゃんは、糖尿病のリスクが上がります。
ぜひ意識をして、体を動かしたり、ストレスを感じないよう飼い主さんと過ごせる時間を確保したり、スキンシップを頑張ってください!

●参照:
犬の糖尿病 治療や予防方法・おすすめの食事を獣医師がご紹介

犬の糖尿病とは? 症状や治療法について【獣医師監修】

犬の糖尿病とは?原因や症状、治療法を紹介|獣医師が解説