目が見えなくなったワンコの対応方法と寄り添い方

みなさんは、目の見えなくなったワンちゃんに出会ったことはありますか?
ペットショップやブリーダーさんからワンちゃんをお家に連れて帰るとき、目の見えないワンちゃんってなかなか見かけませんよね。
実際のところ、目の見えなくなったワンちゃんに会うことはほとんどないに等しいかもしれません。
けれど、先天的に目の見えないワンちゃん、途中から目が見えなくなるワンちゃんはいるんです。
「今、自分の隣に座っているワンちゃんは両目が見えていて元気いっぱいだけど…」
そう思われるかもしれませんが、ワンちゃんも高齢になったり、ケガをしたり、病気で視力を失うことがあります。
ワンちゃんが視力を失った時、私たちは何をしてサポートしてあげられるのでしょうか?
ここでは、ワンちゃんが視力を失ってしまった時の対応方法と、ワンちゃんへの寄り添い方についてご紹介したいと思います。

視力を失ったかもしれない?ワンちゃんの視力低下に伴い見られる症状

言葉を離すことのないワンちゃんの視力低下に、私たちはどうやって気づいてあげればよいのでしょうか?
実は、視力が低下するとみられる症状がいくつかあります。
毎日の様子が、ちょっと変わってきた…、そんなときは下記の症状をチェックしてみてください。

壁や柱、ドアにぶつかる

人間の視覚障がい者も、よくものにぶつかるといわれますが、ワンちゃんも同じです。
ドアの隙間を通るとき、今まではぶつかることがなかったのに、ぶつかるようになった…。
家の柱にぶつかってしまった…。
壁があるのにドンとぶつかってしまった…。
以前は階段を駆け上がっていたのに、階段やちょっとした段差がかなり苦手になった…。
こんな症状が見えてきたら、気を付けてあげたほうがよいかもしれません。
視界がぼやけ、物が把握しにくくなっている可能性が高いからです!
興奮して走り回っているときにぶつかる、というのではなく、通常の状態でものにぶつかるようになったら、視力チェックが必要です。

びくびくしている

散歩に行くとき、以前は飛び出すような勢いで出かけていたのに、なぜかある日を境に用心深く外に出かけるようになった。
外ではびくびくして歩いている…。
散歩や遊びにそんなに積極的ではない…。
こんな様子が見られたら、目が見えにくくなっているのかもしれません。
目が見えにくいのに外を歩くのは、ワンちゃんにとっても怖いことですからね。
併せて怒りっぽくなったり、ちょっとした物音で吠えるようになったら、やはり警戒心からきていると考えられるでしょう。

ワンちゃんが視力を失う原因ってどんなものがあるの?

ワンちゃんが視力を失う原因って、どのようなものがあるのでしょうか?
事故などの怪我以外では、どのような病気に注意してあげる必要があるのでしょうか?

・核硬化症:

ワンちゃんの視力低下の主な原因として一番多いのは、加齢による視力低下です。
核硬化症という言葉はあまり聞いたことがなく、重大な病気のように聞こえるかもしれませんが、これは何か原因の疾患があって引き起こされるものではありません。
自然と老化に伴って発症するもので、まったく見えなくなることはないようですが、水晶体が白濁し、ワンちゃんによっては視野が狭くなるといった症状がみられます。
6-7歳ごろから、目の中心が白く膜がかかっているように見えるなど、外見からも見当をつけることができます。

・白内障:

人間では65歳以上の6割以上が白内障になっている、などといわれますが、ワンちゃんも同じく老化に伴って発症する子が多いのが白内障です。
水晶体が老化してしまうといった背景のほか、遺伝性の白内障や、糖尿病といった疾患が隠れている場合もあります。
遺伝性の白内障は、シニア犬になる前に発症することもあるので、要注意です。
遺伝性の白内障を患いやすい犬種は実に多岐にわたっており、大型犬小型犬関係なく発症します。

白内障にかかりやすいといわれている子は…:

シベリアン・ハスキー、アメリカン・コッカスパニエル、ゴールデン・レトリーバー、キャバリア、ジャーマン・シェパード、ラブラドール・レトリーバー、イングリッシュ・コッカスパニエル、ミニチュア・シュナウザー、ビーグル、ボストン・テリアなどなど。

若年性白内障にかかりやすい子も多岐にわたっているので、どんな犬種の子も白内障を発症する恐れはあると考えてよいでしょう。
予防としては、ワンちゃんが怪我から発症しないように、物がたくさん置いてある環境で飼育し、植え込みなど枝が尖っている場所も注意をしてあげることでしょう。
白内障は緑内障を併発することもあるので、できるだけ予防したいですね。
白内障になってしまった場合は、少しでも早く点眼薬を商法してもらうことで、進行を遅らせることができます。
また、人間と同じように白内障の手術を受けることもできますので、獣医さんと相談するとよいでしょう。
ただし、手術で治るかどうかは症状の進行具合にもよります。
すでに視力回復の見込みが望めない場合は、手術を行うことはないそうです。
人間と同じく、白濁した水晶体を取り除き、人口のレンズを入れてあげます。
もちろん、手術が成功すれば目が見えるようになります。

・緑内障:

人間の失明原因としても知られる緑内障ですが、ワンちゃんの場合もやはり失明リスクの高い疾患となっています。
ワンちゃんの緑内障では、眼の中を循環している水がなんらかの原因で滞ってたまってしまい、眼圧が異常に高くなります。
そのため、眼球突出といって目が大きくなったように見えたりします。
一般的に、まずは片目に発症し、その後両目とも発症して失明してしまうといわれています。
瞳孔が開いたままに見える散瞳や結膜炎、角膜炎が見られ、さらに視野が狭まるなど徐々に進行していきます。

遺伝的に緑内障になりやすいといわれている子は:

シベリアン・ハスキー、秋田犬、ノルウェジャンエルクハウンド、アラスカンマラミュート、サモエド、トイプードル、チャウチャウ、マルチーズ、シーズー、シャーペイ、ボストン・テリア、ウェストハイランド・ホワイトテリア、マンチェスターテリアなどといわれています。

緑内障のポイントとしては、症状が診られてすぐに病院を受診することで、視力を維持できる確率が高いといわれています。
そのため、ちょっとでも目の異変を感じたら獣医さんを受診するのを推奨したいとおもいます!

緑内障の治療法としては、基礎疾患がない場合は眼圧をコントロールし正常範囲内に抑えるための投薬となります。
とはいえ、投薬だけでは1年以内の失明率が9割といわれていますので、手術を選択することが多いようです。
また、もう片方の目も緑内障を発症する確率が高いため、無症状の目にも気を付ける必要があります。
手術では房水を排出させる「濾過法」や、房水を産生している毛様体を調整する「毛様体光凝固術」、「毛様体凍結術」などを行うとのことですが、視力が完全になく、かつ痛みの原因になっている場合は、眼球摘出手術となるとのこと。

・乾性角結膜炎:

涙の分泌量の減少などが原因で起こるといわれる病気で、目が炎症を起こします。
目やにが多かったりするのは、結膜炎かもしれません。
この病気になると、角膜に炎症が起きたり、潰瘍ができやすくなるので、気を付けてあげたいですね。

・マイボーム腺機能不全:

 
涙やけの原因ともいわれるのが、マイボーム腺機能不全です。
マイボームとは何ぞや、と思われるかもしれませんが、マイボーム腺は涙の中に含まれる脂を分泌する腺のことです。
ここが老化で委縮したり、詰まったりしてしまうと涙が流れ続ける原因になってしまうわけなんですね。

・色素性角膜炎:

目の大きな短頭種に頻発する病気が、色素性角膜炎です。
逆さまつげなどで、角膜が傷ついて炎症を起こし、黒ずんでしまう慢性の病気となります。

・進行性網膜萎縮症:

人間にも発症する網膜の病気で、遺伝性の疾患といわれ、徐々に視力低下をしていき、最終的には失明するといわれています。
遺伝性疾患の場合、発症時期は「早発型」か「遅発型」かによって分かれ、早発型であれば生後数か月くらいから2歳前後までに発症、遅発型だと4歳から6歳前後から視力低下が始まります。

発症しやすい犬種は、ミニチュアダックスフンド、カニンヘンダックスフンド、トイプードル、シェットランド・シープドッグ、ラブラドール・レトリーバー、アイリッシュセッター
アメリカン・コッカースパニエル、ミニチュア・シュナウザー、シェルティ、ミニチュアダックスフント、ミニチュア・プードルなどといわれています。

進行性網膜萎縮症は常染色体劣性遺伝なので、親から子へと遺伝する疾患ではありますが、実は遺伝性ではなく、代謝によって起きてしまうことも!
原因としては、腫瘍や栄養不足、ビタミンE不足、炎症などとなっています。
ちょっと気になるな、という飼い主さんは、ぜひ獣医さんで検査してもらいましょう。
眼底検査、網膜電図検査、遺伝子検査でわかるそうです。
気になる検査料も、2000円から高額になっても1万円程度が平均ですので、ご安心ください。
治療は確立されておりませんが、失明した後どうするかなど、準備はできますよね。
愛犬に寄り添うためにも、検査はお勧めします!

目が白く濁っている場合に知っておきたいこと

ワンちゃんの目が白く濁る場合、外側にある角膜が白濁したか、内側が白濁しているかで
考えられる病気の種類も違います。
ワンちゃんの目が白く濁る場合に考えられる病気は、角膜異常、ぶどう膜炎、白内障、そして水晶体が白濁する核硬化症の4種類です。
素人では判断しにくいので、「うちの子はもう年だから…」と白く濁ってきた目を見て見ぬふりをするのではなく、白く濁ってきたら早めに獣医さんを受診するのが、白内障など上記の病気と核硬化症の判断をしてもらえ、失明を避ける最善の行動なのです。

失明したワンちゃんの生活はどう変わる?

ワンちゃんが失明してしまった時、ワンちゃんはどう乗り越えるのでしょうか?
実は人間よりも嗅覚や感覚が鋭いワンちゃんは、目の見えない生活に順応するのが速いようです。
頭の中に残っている室内や散歩の道のメンタルマップで、目の見えないワンちゃんも飼い主さんのサポートがあれば元気に散歩に行くことができるのです。
「見えなくても大丈夫よ、元気に過ごそうね!」
という姿勢でワンちゃんに接してあげることで、ワンちゃんも安心できるのではないでしょうか。

・環境を整える

お家のレイアウトは、視力が低下してきたことがわかる前から、歩き回ってもぶつかるものがない環境で飼育してあげましょう。
覚えやすいレイアウトにしておけば、万が一でもワンちゃんが慌てずに過ごせますよね。

・急な動作はNG

目が見えなくなると、急に何かが起こった時かなり恐怖を感じたり、不安になったり、驚いたりしてしまいます。
動作はゆっくり目にしてあげてください。

・散歩は明るいうちに!

視力が低下してくると、暗いところは苦手になります。
お散歩はお日様が降り注いでいる日中に連れて行ってあげてくださいね。

・ぶつかるところにはクッション材を!

ドアや壁など、どうしても配置を変えるのが難しいもの、テーブルの脚や椅子の足にも、
ぶつかっても大丈夫なようにクッション材をつけてあげるとよいでしょう。

・階段や段差の工夫

段差はできれば工夫して少なくしてあげましょう。
階段は抱っこのほうが安心ですね。
一緒に他のワンちゃんを飼っていたりする場合は、ワンちゃんの首輪に鈴をつけてあげると、安心できるでしょう。

ワンちゃんの視力低下を防ぐためにできることとは?

ワンちゃんが加齢や病気などで視力低下をしないために、今のうちからできることをしておきたいものですね。
シニアに入るワンちゃんには、毎日の遊びに視力を使う遊びを取り入れて視力維持を頑張ってもらいましょう。
例えば、キャッチボールなんかもお勧めですよ。
また、普段から目の周りのケアを取り入れてあげましょう。
目やにや涙やけなどの症状をチェックし、清潔を保ちましょう。
また、目やにがひどかったり、目の色に違和感を感じたり、目の大きさが若干違うといった普段と違う様子が見られたら、迷わず獣医さんを受診しましょう。

終わりに

いかがでしたか?
ワンちゃんを飼うとき、ワンちゃんがいつか失明するかもしれない、なんて心配をする方はいらっしゃらないかと思います。
が、実際には病気やケガ、加齢などで視力が低下してしまったり、失明してしまったりする子もいるのです。
ワンちゃんの視力低下に気づけるよう、ぜひ目の状態に気を配ってあげてくださいね。
また、普段から視力低下を予防できるよう、環境等を整えてあげましょう!

参照:・https://wanchan.jp/disease/detail/15554
   ・犬が失明する原因と失明した場合の対処法 | ワンちゃんしつけCLUB (dogs-info.jp)