毛の中にブツブツ!皮膚病対処法

いつもたくさんの毛におおわれているワンちゃんたち。
冬場は暖かそうで、ちょっと羨ましいくらいですが、残念なことも。

それは、毛に埋もれているせいで、皮膚病の初期症状に気づきにくいということ。
ちょっとくらいの皮膚病じゃあ、気が付かない飼い主さんも実際いらっしゃるのではないでしょうか?

何気なくワンちゃんをなでているときに、指先に「ぷつっ」という感触が。
「あれ?そういえば最近、よくかゆがっていたかも…」と、毛をかき分けて探していくと、かさぶたのようなものがくっついている、なんてケースから、赤色のぷつぷつができているものまで皮膚の症状もさまざまです。

ここでは、ワンちゃんの皮膚病について一緒にみていってみましょう。

ワンちゃんの皮膚病って、どんな種類がある?

まずは、ワンちゃんの皮膚病の種類で、特によくみられるものをチェックしてみましょう。

ワンちゃんの皮膚病の原因は、感染症が原因のもの、アレルギーによるもの、そしてその他に原因のあるものに大きく分類することができます。

〇膿皮症

人間でも、体の抵抗力が落ちているときにもともと私たちの体に住んでいる菌が暴れだすことがあります。
ワンちゃんの皮膚病でよくみられる「膿皮症」も、免疫力が落ちているときに常在菌が暴れだして起こるといわれています。

ワンちゃんの皮膚の柔らかいところに赤いポチポチができていて、すごくかゆがっていたら、膿皮症を疑ってよいかもしれません。

〇皮膚糸状菌症

人間にも移る皮膚病としてちょっとだけ気を付けたいのが、皮膚糸状菌症です。
お肌にカビが繁殖し、「たむし」なんて呼ばれたりもしますが、まるく脱毛していくのが特徴です。

こちらの場合も、皮膚のバリア機能が低下していると急に増殖しだすカビで、無症状でも保菌している場合があるんです。

子犬など、まだまだ免疫力がしっかりついていないワンちゃんがかかってしまうことも。
面倒くさいのは、皮膚糸状菌症にかかってしまうと、数か月間かけて治すことになることです。

〇マラセチア皮膚炎

マラセチアはもともと皮膚にいる、酵母様真菌といわれる悪さをしない大人しいカビの一種です。
ところが、何かの原因で菌が増えてしまうと、ちょっと脂臭いような匂いとべたつきが見られます。

ワンちゃんの耳垂れ(外耳炎)の原因の多くが、マラセチアともいわれているんですよ!

耳を痒がって、耳の中に黒に近い焦げ茶色の耳垢がべったりついていたら、マラセチアかもしれません。

〇ツメダニ皮膚炎

ワンちゃんの皮膚病の一つ、ツメダニ皮膚炎は、ダニの一種のツメダニが原因。
ツメダニがワンちゃんの皮膚を傷つけ、体液やリンパ液を餌に繁殖するのでかゆみと、フケのようなものが出ます。

フケはよく見るとダニなのに気が付かれるかも!
ツメダニは人間にも移りますが、人間のお肌はツルツルしているため寄生しにくいようで、万が一寄生されても自然に治るようです。

〇マダニ症

最近ニュースでも騒がれている怖いやつ、それが「マダニ症」です。
マダニに食いつかれると、マダニの唾液から免疫反応が起こってかゆみや痛みが発症。

稀に、食われたばかりでも歩行障害や貧血が現れることもあります!
マダニが怖いのは、いろいろな病気を媒介しているから。

日本紅斑熱、ライム病、ダニ麻痺症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、バベシア症、野兎病など、厄介で命の危険のある病気を媒介しているのです。

〇毛包虫症(アカラス)

「ニキビダニ」とも呼ばれる毛包虫は、ダニの一種でその名の通り毛包内に住んでいます。
いつもは悪さをしていないように見えても、ワンちゃんの免疫力が低下すると一気に活動し、増殖してしまうので要注意です。

原因としては、お母さんのワンちゃんから子犬の時に移されてしまうことが多いようで、子犬の時に発見されるケースが多いんですよ。

皮膚がピンク色になっていたり、顔の毛も脱毛したりします。

〇疥癬症

不衛生な環境で生活させられているか、すでに疥癬に感染しているワンちゃんからもらってきてしまうのが、疥癬です。

ヒゼンダニというダニが原因の感染は、ワンちゃんの皮膚の角質層に入り込もうとするため、比較的皮膚の薄い部分(目の周りの皮膚や、指の間など)に見られ、かなりのかゆみがあるといわれています。

〇ノミアレルギー性皮膚炎

人間にアレルギー体質があるように、ペットにもアレルギー体質の子がいるんですね。
そんなアレルギー体質の子にノミが寄生し、血を吸うと、ノミの唾液に免疫反応が起こって、皮膚炎を発症しちゃうのです。

ノミの唾液には、ほかにも感染症が含まれていることもあるので、ノミを防ぐのは一番手っ取り早い対策なんですよ!

ノミアレルギー性皮膚炎の場合は、下半身を噛まれたわけでなくても、下半身全体を中心に症状が発症するのが特徴です。

〇アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は人間だけの病気ではないんです!
そう、ワンちゃんでもハウスダストや食べ物でアトピー発症することがあるんですね。

多くの場合は発赤や発疹、かゆみを伴い、完治が難しいので気長に付き合っていくことが必要な皮膚病となります。

〇接触性皮膚炎

アレルギー体質の子が、お肌に刺激のある物質に触れてしまった時にアトピーのように赤くなったり、発疹が見られたり、痒くなったりという症状が現れます。

〇食物アレルギー

ワンちゃんの中にも、食物アレルギーを持っているワンちゃんがいるんです。
万が一合わない食べ物を食べてしまうと、ワンちゃんが口を痒がり、そのうち顔全体をこする姿が見られるかもしれません。

同じものを食べ続けて発症するケースも多いので、ドッグフードも違う種類のものをいろいろ食べさせて予防してあげたいですね。

〇脂漏症

皮膚から脂が過剰に分泌され、かゆみや炎症、果ては皮膚トラブルを発症してしまうのが脂漏症です。
脂漏症の場合は、食生活などの見直し、いつも使っているシャンプーなどの見直しがお勧めです。

また、乾性脂漏症も肌のバリア機能がトラブルを起こして乾燥し、フケやかゆみが現れてくる皮膚トラブルの1つです。

脂漏症と同じく、食事内容とお風呂の際に使用しているものをもう一度チェックする必要があるのです!

〇その他

その他の皮膚トラブルとしては、腫瘍など病気を患っていて皮膚に症状が出るものなどもありますし、ストレスから発症するものもあります。

ワンちゃんを皮膚病から守るためには?

一通りワンちゃんの皮膚病について知ったところで、ワンちゃんを皮膚病から守るためにはどうしたらよいのか、考えてみましょう!

〇草むらはできれば避ける!

草むらを避けたい大きな理由が、「マダニ」です。
マダニだけでなく、ノミも避けたいのですが、究極はマダニですよね。

マダニは、草むらのある公園や河川敷、田んぼがあるところに住んでいる方は田んぼの横のあぜ道もですし、山林もマダニの住処です。

木の上に住んでいて、上からポトリと落ちてワンちゃんにつくこともよくあるんですよ!
マダニたちは、私たちが吐く二酸化炭素や人間や動物の体温、体臭などにめがけて飛び移り、血を吸うといわれています。

草むらに入ることがあるのであれば、人間の私たちは長そで長ズボン、できれば足元はブーツで気を付け、ワンちゃんにも服を着せたいですね。

忌避効果のある成分を含むスプレーや首輪などを利用するのもお勧めです。

〇衛生環境に気を付ける

ダニは不衛生な環境を好みます!
ワンちゃんのベッド、こまめに掃除機をかけてあげていますか?
晴れた日には外で干し、掃除機をかけるなど、ダニが繁殖しないようにつねに清潔に保ちましょう!

〇食事内容に気を付ける

同じドッグフードを毎日与えていませんか?
今は大丈夫でも、同じものを食べさせられ続けると急にアレルギーを発症することがあります。

ドッグフードは数種類を常備し、ローテーションで与えるなど、工夫してあげましょう。

また、与えるものも始めて食べさせるものは、食べた後に変化が出ていないかちょっとだけ気を付けてあげましょう。

〇ワンちゃんのストレスに気づく!

ワンちゃん、ストレスがたまっていませんか?
ストレスがたまると、抵抗力が落ちてしまったり、過剰に体を舐めることで皮膚トラブルになってしまうこともあります。

最近かまってあげる時間が少ないかも、なんて飼い主さんは、ぜひゆっくりワンちゃんと遊んであげてくださいね。

グルーミングも、大切な絆を育む時間です。
飼い主さんも、ワンちゃんに触れることでストレス解消になりませんか?
まさにWIN WINですね。

ワンちゃんが皮膚病を発症したら?

ワンちゃんが皮膚病を発症している様子が見られたら、直ちにかかりつけの獣医さんへつれていきましょう。

皮膚がどんな状態なのか、いつごろから痒がるようになったのかなど、正確に伝えるようにしたいですね。

皮膚病の場合の治療方法としては、投薬が考えられます。
皮膚に塗るクリームや、餌に混ぜ込むタイプのものなどがあるでしょう。

また、場合によっては殺菌作用のあるシャンプーを勧められたり、皮脂を取る施術を受けることもあるかと思います。

アトピーなどアレルギーが原因として考えられる場合には、食事指導が入る場合も。
気になることは相談し、治癒を目指しましょう。

終わりに

いかがでしたか?
ワンちゃんの皮膚病について、種類や原因、対処法がお分かりいただけたかと思います。

ワンちゃんを皮膚病にしないためにも、また皮膚病を治すためにもシャンプーやブラッシングなど、正しいスキンケアを行うことが何よりも大切なのです。

また、ワンちゃんが生活している環境もとても大切です。
衛生的にすることはもちろん、温度や湿度、また食べ物アレルギーがないかなど飼い主さんがちょっと気を付けてあげることで、ワンちゃんの皮膚病発症率は格段に下がるのです。

かゆがっている様子が見られたら、悪化しないうちにぜひ、動物病院へ連れて行ってあげてくださいね。

また、ストレスが溜まらないように外が寒くても十分散歩をしてあげる、またストレス発散できるように遊んであげるなど、飼い主さんとワンちゃんが楽しく過ごす時間もぜひ確保してあげてください。