誰もが目をひかれる白く大きなグレートピレニーズ。その魅力とお迎えする前に知っておきたい事

真っ白でふわふわな毛と大きな体、まるで白熊のような大型犬で、思わず抱きつきたくなるグレートピレニーズ。
ゆったりと歩く姿は優雅さすら醸し出す大型犬ですが、一体どんな性格でしょうか?

グレートピレニーズとは?

元となる大型犬がヨーロッパの山岳地帯に古くから牧羊犬として飼われていたと言われています。

チベットに現存したチベタン・マスティフの子孫と言われ、遊牧民と一緒に中央アジアなどを通りヨーロッパへと到達したようです。

フランスとスペインの間にあるバスク地方、ピレネー山脈での環境が適しており、そこからバスクの人々によって発展していったと言われています。

日本ではグレートピレニーズと呼ばれますが、国によってはさまざまな呼ばれ方があり、マレンマ・シープドッグ、クーバース、ピレニアン・マスティフなどと呼ばれています。

グレートピレニーズは牧羊犬や番犬として働き、またその大きな体と警戒心の強さでオオカミやクマを追い払い、戦ってきました。

17世紀になるとフランス宮廷に迎え入れられ、ルイ14世やマリー・アントワネットに愛され宮廷の護衛犬として働くことになりました。

19世紀にはイギリスのビクトリア女王にも愛され所有されていました。
やがて時代が代わりグレートピレニーズの役目が減ると、一時絶滅寸前と言われたことがありました。

原産国のフランスですらその存続が難しかった頃、山岳地帯で生き残っていたピレニーズ達を発見した愛好家たちにより改良を行い19世紀後半にイギリスで公認犬種として登録されました。

20世紀の初頭にかけて原産国のフランスでスタンダード(犬種標準)が定められ、それ以前にニューファンドランドの基礎としてアメリカに入っていましたが、20世紀の前半に本格的に輸入されるようになり、アメリカンケネルクラブで登録されました。

山岳地帯から人と共に暮らすように下りてきたピレニーズ達は、家庭犬として暮らせるように改良をしながら繁殖されていきました。

グレートピレニーズの大きさは?

グレートピレニーズは、オスが体重50~54kg、体高70~82cm、メスが体重36~41kg、体高65~74cm。
たくさんの毛に覆われた超大型犬です。

子犬期からも生後3か月で10キロは優に超えてきます。

グレートピレニーズの性格は?

おっとりとした温和な性格でありながら、もともとが牧羊犬であったため警戒心の強さや俊敏性があります。
家族には深い愛情を見せますが、外敵から家族や家畜を守ろうとする勇猛な性格を持っています。

グレートピレニーズの体質は?

長く白い美しいダブルコートを持っています。
これはもともと山岳地帯の冷涼な地で暮らしていたためで、寒さにとても強いです。

反面、その被毛の暑さから夏は苦手です。

もともとは白い毛色だけでしたが、改良の過程で他の色も作出されるようになりました。
グレー、イエロー、オレンジ、ウルフなどのまだらが頭部や耳、尾の付け根にあることもあります。

体格はがっちりと骨太です。

グレートピレニーズは大型犬の中でもトップクラスの抜け毛が有ると言われていますので毎日のブラッシングを欠かさず行いましょう。

グレートピレニーズの特有の特徴として、狼爪が後ろ脚にあります。

他の犬は狼爪は前足にありますので、グレートピレニーズだけの特徴となります。

大型犬ですので、運動はしっかりと必要です。
運動が少ないとストレスになりますので、朝夕1時間ずつの散歩が最低限必要です。

ゆっくりで大丈夫ですので、たっぷりと時間をかけて行いましょう。

グレートピレニーズのかかりやすい病気や寿命は?

グレートピレニーズの寿命は10年~12年と言われます。
もともとが寒い地方に暮らしていたため、夏の暑さや湿度は苦手です。

熱中症にかからないためにも、空調をしっかりと整えた室内で暮らすようにしましょう。
屋外での飼育は向いてはいません。

犬種的にかかりやすい病気があります。

僧帽弁弁膜症と呼ばれる心臓の病気は、血液を送り出す心臓の僧帽弁と言う弁(蓋のようなもの)の動きが弱くなり汚い血液が逆流することで起こります。

初期のころは心臓の音に雑音が入るくらいですが、進行していくと咳や腹水と言った症状が見られ、放置していると緩やかに死に至ります。

骨肉腫と呼ばれる骨の病気は、好発犬種としてゴールデン・レトリバーが有名ですが、それについで発症例が多いとされています。

腫瘍は高齢になると多発しますが、ピレニーズの骨肉腫の場合は中年齢から発症することがしばしばあり、症状によっては脚の切断をしなければならない事もあります。

膝蓋骨脱臼と呼ばれる膝の病気があります。
膝のお皿が外れる病気で、グレードが低い間は自分で外れたものを治して歩いたりしますが、進んでいくと痛みが出て歩けなくなることもあります。

大型犬のため脚や関節への負担がかかりやすいため、フローリングや爪が引っかからないようおうちの中も工夫が必要です。

どの病気も早期の発見が大切ですので、小さいころからかかりつけの病院で良く見てもらっておきましょう。

グレートピレニーズのしつけは難しい?

牧羊犬であったグレートピレニーズは、家族や家畜を守る役割を持っていた犬種です。
警戒心は強く、敵に対しての攻撃性があります。

体の大きさに合う低く大きな声で鳴きますので、吠えないようにしつけることも大切です。

また、この体の大きさを育てるためには、飼い主側にもそれなりの体力が必要です。
子犬期からでも中型犬ほどの大きさがありますし、成犬になれば50キロと人間並みの大きさになります。

それを制御できる力と、適切なしつけが必要です。
頭は良いので、子犬期からしっかりと、社会化させ他社に対して警戒心を持たず穏やかに接することができるようにしつけましょう。

大きな犬に吠えられるだけで恐怖を覚える人もいますので、吠えないようにもしつけていきます。

牧羊犬であったため走るもの、動くものに反応し追いかけてしまう本能があります。
きちんとリーダーシップをとり、意味を持って叱り、きちんと褒めることで信頼関係を築き、訓練を受け入れやすくなってくれます。

大型犬のしつけを難しいと感じる場合は、しつけ教室に通うようにしましょう。

プロからしつけを教わり、家族全体でしつけることが大切です。

グレートピレニーズの価格は?

平均的な価格は22万円ほどです。
血統や斑の入りなどで価格が変わってきます。

グレートピレニーズにかかる費用は?

超大型犬であるグレートピレニーズの成犬50kgの子の場合、一日約650~800gの食事が必要です。1か月の食費の目安を12キロ12000円の食事で計算すると、1か月で2袋、2万4千円ほど、年間で約29万円~となります。

これにトッピングをする場合やコミュニケーション用のおやつなどを与える場合は1か月10000円ほど。

予防接種やフィラリア予防、ノミダニ予防で年間5~6万円がかかります。

さらにおしっこシーツなどの消耗品年間2万~や、先天性の疾患に備える動物保険年間25000円~などがかかってきます。

グレートピレニーズはしつけをしっかり行う必要がありますので、しつけ教室やトレーナーさんに通う場合、1月約5万円~で半年~1年、入会金1万円~などがかかってきます。

これらにお迎え時に必要な費用、ベッドなどお迎え準備に必要なものを揃える必要があります。

この金額を平均寿命の間で11歳で合計すると、ザックリ520万円ほどが必要になってきます。

かわいいから、大きい子があこがれだからと安易に考えず、しっかりと家族で相談してから、お迎えするようにしたいですね。

最後に

家族を守る事を使命として来た犬種ですが、愛情は深く家族が大好きです。

現在の日本では強い警戒心よりもフレンドリーで愛らしいグレートピレニーズが愛されています。

きちんとしたしつけを行われたグレートピレニーズは、家族と一生幸せに過ごせます。

大型犬を検討しているなら、もふもふの毛皮に包まれる幸福感を味わってみませんか?