人を噛んじゃった!その後どう対処する?

「まさかうちの子に限って!」
どんな飼い主さんでも、自分の愛犬が人を噛むことは「想定外」だったりしますよね。

けれど、ワンちゃんを飼ったら1度は考えなくてはならないことが、「人を噛んでしまった場合」です。

万がいち自分の家のワンちゃんが人や他のワンちゃんに噛みついてしまった場合、私たちはどう対処すればよいのでしょうか?

ワンちゃんを飼っているなら知っておいて損はない、「人に噛みついた時の対処法」について見ていってみましょう。

どんな場面で噛みつき事故が起きる?

ワンちゃんの噛みつき事故は、どんな時に起こるのでしょうか?
まずは、噛みつき事故が発生するシチュエーションについて知っておきましょう。

●ワンちゃんが触られてびっくり!

ワンちゃんが噛みついてしまう原因の一つに、急に知らない人に触られてしまった時があげられます。

ワンちゃんに非はないといえども、人に噛みついてしまったら噛んでしまったほうが悪いということになりますので、可哀そうですよね。

触られても噛まないというルールは、子犬のころからしっかりしつけておくことで、人間もワンちゃんも守ることができます。

●甘噛みのつもりが!

ワンちゃんは遊んで噛んでいるつもりでも、思いもよらず強い力で噛んでしまっていることもあるのです。

飼い主よりも知らない人のほうが被害件数が高い!

 環境省の調査によると、犬による咬傷事件件数は平成元年の10777人から比べれば、平成28年度は4341と半数以下に減少しているものの、だいたい4000件から5000件弱の咬傷事件が発生しています。

直近(平成28年度)のデータでは被害者のうち、飼い主や家族は190名(うち1名死亡)であるのに対し、「他人を咬んでしまった」が4040名(うち4名死亡)となっています。

やはり圧倒的に、飼い主(家族)以外の方が被害にあっているのです。

【参照】
環境省_動物愛護管理行政事務提要

愛犬が噛んでしまったら初めにすること

ワンちゃんが人に噛みついてしまったら、それがどんな状況であれ一番初めにしなくてはならないことは、飼い主さんが落ち着くことです!

飼い主さんが落ち着かない状況だと、ワンちゃんも興奮状態のままになってしまいます。

まずは、落ち着きましょう!

ワンちゃんが噛みついてしまった場合、まずは以下の手順に沿って対処してみてください。

ワンちゃんを急いでどこかにつないでおく。(飼い主さんも噛みつかれないように注意)

被害者の方にかかりつけの病院を確認し、連絡を取り、そこまでの移動手段を確保する。

怪我の具合や噛まれた方によっては救急車を呼ぶ。
その際には、飼い主さんも被害者の方と一緒に病院へ同行するか、同行できない場合には必ず連絡先を交換しておいてください。

記録として残しておくため警察に調書を取ってもらう。

ワンちゃんは家族の誰かに迎えに来てもらう。

ワンちゃんが人や他の犬を噛んでしまったとき、つい大声で叱りつけたり、場合によっては叩いてしまいそうになるかもしれません。

けれど、噛みついた時に怖い思いをすると、逆効果になることも。

怖かったり、不安だったり、嫌な気持ちで噛みついてしまったことが考えられるため、「もう大丈夫」といった言葉をかけ、ワンちゃんを落ち着かせてあげることが大切です。

被害者と病院へ行った場合に取るべき行動とは?

被害者の方の病院へ同行した場合、飼い主さんはどういった行動をとればよいのでしょうか?

まずは、被害者の主治医の先生に、予防接種等の有無をお話ししましょう。

また、診断書などを書いていただいた時には、コピーを取らせてもらいましょう。

そうすることで、治療費などが明確になり、保険の手続きの際にもスムーズに進めることができます。

お金をどうするかといった話になる前に、飼い主さんが加入している保険会社へ連絡を取り、どの程度話を進めてよいのか、確認すると安心です。

和解となってしまった場合、保険適用ができないなど思わぬ落とし穴があるかもしれませんからね!

飼い犬についての情報はどうやって届け出ればいいの?

咬傷事件を起こしてしまった場合、飼い主さんは速やかに保健所に届け出ることが必要となります。

事件が起こって24時間以内に、保健所に行き「飼い犬の咬傷事届」を提出しましょう。

さらに次のステップとして、ワンちゃんを獣医さんに検査していただき、「検診証明書」を発行してもらいます。

検診証明書は、ワンちゃんの感染症の有無を明確にするために必要です。

ワンちゃんが人を噛んでしまったら、保健所で殺処分されてしまうのではないかと心配になってしまいますよね。

ワンちゃんが人を噛んでしまったからといって、即殺処分になることはかなり稀で、殺処分になるには、どのくらいの頻度で人や犬などを噛んでしまうのか、将来的な危険性はどうか、また被害者の方が殺処分を望んでいるかどうかなどに左右されるとのことです。

万が一被害者の方が殺処分を望まれた場合には、ワンちゃんをプロのトレーナーにしつけしなおしてもらうなど、代替えの条件を提示してみましょう。

被害者の方の感情を逆なでしないように、どうにか殺処分を避けることができるようお願いしましょう。

お金などの話し合いはどう行う?

最後に、飼い主さんは被害者さんと和解に向けて話し合う流れとなるかと思います。

例えばお相手の方が急に手を出してワンちゃんを撫でようとして、ワンちゃんがびっくりして噛みついてしまった場合でも、飼い主さんは誠意をもって謝罪をすることが大切となります。

流れとしては、

・被害者の方に連絡をし、話し合いをする場所を設ける
・被害者の方に誠意をもって謝罪する
・必要な書類はすべて持参し、お見せする
・和解となった場合も書面で残す
・治療費・慰謝料の支払い

となります。

被害者が病院を受診した際の支払いは、すべて飼い主さんが負担することとなりますし、病院まで通院となった場合なども、交通費はすべて飼い主さん負担となります。

例えば、噛みつかれた際に生じたケガで仕事に行けなかった場合は、その休業補償も飼い主さんが支払うことになりますが、「個人賠償責任保険」に入っていれば保険がおります。

どのくらいの治療費・慰謝料を支払うことになるの?

被害者の方に慰謝料や治療費など、だいたいいくらくらい支払うことになるのかは気になるところですよね。

被害者の怪我の具合などにもよりますが、例えば

●手を咬まれて小指を骨折、10日間の入院と3か月の通院で後遺障害が残ってしまった場合:約2,100,000円の金額が発生。

●噛まれて腕を骨折、50日間の入院治療となった場合:約580,000円の支払いが発生。

となっていました。後遺障害が残るとさらに高額になります。

アクサダイレクト

なんで噛むの?ワンちゃんの気持ち

ワンちゃんが噛みつくのはなぜか、ワンちゃんの気持ちについて考えてみましょう。

ワンちゃんが噛みつく場合には、ストレスが溜まっていることが多いようです。

不安・恐怖・拒否など、ネガティブな感情が心の中でいっぱいになっているとき、噛むといった行為が見られます。

ワンちゃんが噛みつくとき、飼い主さんはワンちゃんを怒るだけではなく、その背景にどんな感情があったのか、どう対応すれば防げたのかなどを考えてみましょう。

ワンちゃんが噛まないためにできることとは?
ワンちゃんが噛んでしまうのは、どうしてなのか?

飼い主さんは、ワンちゃんの状態をよく分析してあげてください。

それでもどうにもならないときには、ぜひ専門家に力を借りてくださいね。

・病気/怪我のせいで噛んでいるのではないか確認

人を噛んでしまったワンちゃんや、もともと噛みつき癖のあるワンちゃんとは、どう接していけばよいのか悩まれるかもしれません。

噛む理由が、体のどこかに痛みを感じる場所がないか、病気が隠れていないかを病院でチェックしてもらいましょう。

・噛んでしまう状況を分析する

どんな時に噛みついてしまうのか、飼い主さんはしっかり分析しましょう。

人に不意に触られると、自分のことを守ろうとして噛んでしまうのか?

人に触られて噛みついてしまうようであれば、触ろうとする方から飼い主さんはワンちゃんを守ってあげなくてはなりません。

知らない人には噛みついてしまうというのであれば、散歩のときは人があまりいない場所を選ぶなど、工夫してください。

誰かが家に来る際には、誰もいない部屋にケージを用意し入れてあげるなど、ワンちゃんが安心できる場所で、人が見えない場所を用意してあげましょう。

外で知らない方や家に入ってきた方を噛んでしまうといった場合は、その散歩コースは自分のコースだと思ってしまっていたり、家は自分のテリトリーだから入ってきてはいけないといったワンちゃんなりの考えがあると考えられます。

・ワンちゃんは飼い主に服従するというルールを教える

ワンちゃんは、飼い主さんの言葉にしっかり従いますか?

ついついワンちゃんがかわいすぎて、いうことを聞かなくてもしょうがないか…といっておおめに見てしまっている方は、ワンちゃんに誰がリーダーなのかを理解してもらう必要があります。

飼い主さんの指示を聞いて理解し、行動することができるようになると、飼い主さんもワンちゃんも楽しく散歩などに出かけることができますよ!

また、リードがないと散歩には行けないなど、常に外ではリードをつけておくといったルールも徹底しましょう。

人が少なそうだから、今日は放し飼いにしてもよいかな…なんてときに、思わぬ事故が怒ったりするものなのです。

備えあれば憂いなし、保険加入がおすすめ!

ワンちゃんを家に迎えるとき、病気や怪我のためのペット保険に加入されるかと思います。

そんな時には、ぜひ賠償責任特約にも併せて加入しておくと安心ですね。

賠償責任保険に入っておけば、ワンちゃんが人を噛んでしまったり、他のワンちゃんに噛みついてしまったり、または何かを壊してしまったときに保証してもらえますよ!

示談交渉つきにしておけば、さらに安心!

保険に加入するときにお知らせされるかと思いますが、事故が起きたらすぐに保険会社に連絡をし、示談解決する前に保険会社を通すようにしましょう。

ちなみに、保険に加入していても保険金が請求できない例もあります。

例えば、ワンちゃんをお友達に預けているときに、人や犬を噛んでしまった場合!

また、同じ家に住んでいる家族を噛んでしまった場合、自分の家のものを壊してしまった場合など。

気になる方は、保険加入時に確認してみてくださいね!

まとめ

ワンちゃんを飼っているけれど、「うちの子は絶対人や犬を噛んだりしない」と思われている方は、もう一度立ち止まって考えてみてください。

万が一でも、噛んでしまったら?

万が一の時に困らないように、日ごろから注意をすること、またワンちゃんの状態を飼い主さんがしっかり把握してあげることが、飼い主さんのこともワンちゃんのことも守ることにつながるのです!