愛犬の去勢・避妊のメリットデメリット!

去勢・避妊はしたほうがいいの?

去勢・避妊が一般的に広まった背景

愛犬がやってきて、最初に考えるのが去勢/避妊をするか否かだと思います。
生殖器官も愛犬の大切な体の一部です。本当に取り除く必要があるのでしょうか。

昔は飼い犬といえども放し飼いにしている家庭が多くありました。
家族が旅行などで留守にする時間が長い場合は犬を放し、自由にさせておくのも当たり前だった時代もあります。

しかし、自由な犬はお構いなしに民家に侵入し飼い犬と交尾をし、飼い主が気付かないうちに妊娠し子犬が産まれるということがよく起こりました。

そうなると飼い主は産まれてきた子犬の処分に困り、新しい飼い主が見つからないと子犬を川に流したり、ダンボール箱に入れて放置したりしました。

こうした悪循環の環境の中で生活するメスが妊娠を防ぐために避妊手術が行われるようになり、一般的に知られるようになりました。

去勢のメリット

穏やかな性格に

去勢を行うとガツガツした闘争性やマウント行為が軽減し、性格的に穏やかになる傾向があります。

攻撃性が強い喧嘩っ早いオスも、去勢の効果を総計で見てみると去勢前に比べて、約60%も攻撃性を示さなくなったという調査もあります。

攻撃性の対象が人間だった犬の場合は人間に対しての恐怖感が攻撃性の発動のキッカケになることが多いので、事故が起こらないように去勢を行ったりもします。

生殖器系の病気予防

去勢手術後は、傷口を舐めないようにパラボラアンテナのような「エリザベスカラー」というものを付けたり、化膿しないように抗生物質を処方されるのが一般的です。

そして、去勢手術をすることで予防できる病気もあり、主に精巣の腫瘍や前立腺疾、患前立腺肥大、前立腺炎、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫などが挙げられます。

去勢手術をしなかったばかりに、老犬になりこのような病気で亡くなってしまう犬も数多くいるので、犬にとっても、後悔したくない飼い主にとっても去勢ということは様々な病気から愛犬を守ってくれる良い方法ではないでしょうか。

ストレスの軽減

オスのヒート中はメスへの興味が極度に高まり、同時にストレスも高まります。
去勢をすることによりストレスの軽減というメリットもあります。

これまでメスを見ればガツガツと自分のもののように振舞い、恋する季節になれば急に食欲不振に陥っていたオスが去勢したことにより別犬のように紳士的な振舞いをしだしたり、メス!メス!!メス!!!とストレスを溜めるのではなく、対象が遊びへと移り変り極度のストレスからも解放され穏やかになることも珍しくありません。

去勢のデメリット

性ホルモンは犬の成長に影響するため、早すぎる早期去勢はオスでは骨格が弱めであったりフェミニンな様相になることもあります。

他にも骨肉腫や甲状腺機能の低下などの疾患率の上昇というデメリットがあります。

骨肉腫の罹患確率についての調査によると、骨肉腫にかかる頻度が高い犬種のロットワイラーでは1歳以下の去勢により3.8倍の発症率になったという調査結果が報告されています。

骨肉腫とは激しい痛みを伴い、いったん発症するとすぐに肺に移転して、肺中にパチンコ玉からゴルフボール大の悪性腫瘍がいくつもでき、呼吸不全を起こし呼吸ができずに死んでしまう、死亡率のきわめて高い病気のことです。

肥満になりやすい

性ホルモンが分泌されなくなるため発情に関わる活動もなくなり、そのエネルギーが消費されないので、去勢前までと同じ内容量の食事を与えていると太りやすくなります。

ヒステリックが残ることがある

幼少期に早期去勢を行うと、いつまでも子犬のような振舞いが残ってしまうことがあります。
カワイイととるか落ち着きのないことにストレスを感じるかは、飼い主さんの受取方により違いはあります。

避妊のメリット

病気予防

避妊手術を行い予防できる病気として、卵巣嚢腫、卵巣腫瘍、子宮蓄膿症、乳腺腫瘍(但し、初回発情前に卵巣を摘出した場合)が挙げられます。

非避妊個体の罹患率は犬種により差がありますが、一般的に非避妊メス10万頭のうち最低258頭(0.258%=400頭に1頭)と言われています。

避妊手術は早期に行うことで0.258%の罹患率が0.00129%に下がるという調査結果が出ており、これは一回のヒートが来る前に避妊した場合の数字です。

避妊手術の前に経験するとヒート回数が多いほど予防効果は弱くなり、6回ヒートを経験した後に避妊しても予防効果はほとんどなくなってしまうためメスの場合は早期避妊が好ましいと言えます。

発情時のストレス軽減

メスは発情前期になると他のメスに対し攻撃性を示すようになりますが、避妊により静かになり、食欲不振などのストレス軽減になります。

避妊のデメリット

病気のリスクが増える

主に尿失禁、脱毛、陰部の皮膚炎、骨肉腫の罹患率増加などが挙げられます。

尿失禁は統計によると体重20kg以上の避妊メスで31%、小型の避妊メスでは9.3%、また避妊時期別では初ヒートの前だと9.7%(約10頭に1頭)で、1回以上ヒートを経験した避妊メスでは20%(5頭に1頭)が術後、この尿失禁になという調査結果が出ています。

骨肉種の罹患確率についての調査によると、そもそも骨肉腫にかかる頻度が多い犬種のロットワイラーでは1歳以下の避妊によりメスで3.1倍に発症頻度が上がったという結果が報告されています。

肥満のメスでは避妊手術により陰部が縮小し股の間に押しつぶされるような状況となることで皮膚炎の原因となることもあります。

行動がオスっぽくなる

メスの場合、避妊手術をすると行動が雄性化することが目立ちます。
これは体の中のホルモンバランスが崩れ変化することにより雄性化し攻撃性は、避妊により強化されたり、あるいは避妊後に現れることがあります。

肥満になりやすくなる

ホルモンバランスが崩れ、避妊前の食事の量を与え続けると肥満になり皮膚炎になりやすくなったりします。

去勢・避妊にはどれくらいかかるの?

去勢・避妊の手術費用

去勢・避妊の手術費用は地域や動物病院の違いで多少の価格差はありますが、助成金(補助金)を出してもらえる自治体もあるので、助成金(補助金)を受ける場合は愛犬の手術を行う前に申し込みをされるとよいでしょう。

基本的にオスの去勢手術の場合は日帰りできて、麻酔代、処置代を含めても15,000から30,000円前後の費用で済みます。

メスになると開腹するので、オスよりも若干高めで20,000から50,000円前後が必要になります。

これはあくまで去勢・避妊手術の費用であって、手術前後の費用は含まれていません。

小型犬、大型犬でも費用が異なりますので、去勢・避妊手術を検討中であれば、一度お近くの動物病院やかかりつけの動物病院で相談するのもいいでしょう。