現代の愛犬に多い悩み別ランキング

食べるものや生活環境の変化でずっと寿命が延びた愛犬たち。
その分、お悩みの種類も増えて細分化してきています。
今回はお寄せいただくご質問の中でも多いものをお悩み別にお伝えしていきます。

1 腎臓の病気
2 尿路結石
3 涙やけ
- 3.1 食事を見直してみる。
4 歯周病
- 4.1 歯の健康のために
5 最後に

腎臓の病気

近年増えているのが愛犬の腎臓の病気です。
愛犬たちの寿命が延びた分、病気にかかるリスクも増えていると言われています。

腎臓の病気はじわじわと進行していき、気づいたころには腎不全を起こしていると言うこともある病気です。

どのような症状や病気があるのでしょうか。
腎臓の役割と共に見ていきましょう。

腎臓とは

犬の腎臓は、腰の一番くびれている部分の背骨の下あたりにあります。
人と同じで二つあり、働きも人と同じです。
・血液のろ過
・老廃物の排出
・尿の精製
・血液を作るホルモンの分泌
・水分や電解質を調整
など、なくてはならない働きをしています。

身体の中の老廃物や毒素を濾して排出し、血液から不要なものを取り出し尿にする、必要以上の水分を排出する、血液を作ったり、血圧の調整をすると言った、腎臓の働きは体の中の重要な役割になっています。

腎臓が病気になり機能が低下する腎不全という病気を発症します。
慢性腎不全と急性腎不全の二つに分けられるこの病気は、命に関わる病気です。
慢性腎不全とは、徐々に腎機能が衰えていき、最終的には腎臓が機能しなくなり死に至ります。

急性腎不全は、毒物や中毒で起こることが多いため慢性腎不全に比べて発症しにくい病気ですが、発症すると数時間～数日で悪化するため早急に治療が必要になり、治療に効果が表れない場合は命を落とすこととなります。
どちらも恐ろしい病気ですが、それぞれには特徴があります。

急性腎不全

体内の毒素や老廃物を排出できなくなり、体内の水分や電解質のバランスが崩れる状態です。

・症状・・・尿の量が急激に少なくなったり、全くでなくなったりします。
嘔吐や下痢を繰り返し、食欲が低下します。

痛みによって背中を丸めたり、動きたがらなくなります。
脱水も起こり、急激に悪化します。

ほおっておくと高カリウム血症や尿毒症と呼ばれる重篤な状態になってしまいます。速やかに病院へ行きましょう。

・原因・・・急性腎不全が発症する原因は複数あり、どれが原因かは病院で見てもらう必要があります。

心臓に疾患がある場合や脱水を起こした場合、腎臓自体に問題がなくとも腎臓に流れ込む血流が悪化し、心不全や下痢、ショック状態に陥ります。

中毒症状によって起きる場合もあります。腎不全を引き起こすと言われているブドウやレーズンを食べての食中毒や、化学物質や毒物、抗生物質によるアレルギー反応などで、ネフローゼ症候群や急性腎炎を引き起こします。

結石や腫瘍で尿道が詰まって起きたり、怪我などの外的要因で尿道に損傷が出来た場合に、排泄障害が起こって起きたりもします。

・治療・・・急性腎不全は急激に悪化して、命に関わる病気です。
症状に気付いたらすぐに治療することが大切です。

急性腎不全を引き起こした原因を早急に調べ、速やかな治療を開始しないといけません。
同時に、腎臓の機能を守るための輸液やホルモン剤の投与、毒素を排出するための治療を行います。

場合によっては血液透析を行い、症状を緩和させ腎機能を回復させることがあります。

慢性腎不全

急性腎不全とは症状も原因も変わってきます。
腎臓の約7割ほどの細胞が失われ、機能が停止している状態を言います。

・症状・・・慢性腎不全は初期段階では特に目立った症状がないのが特徴で飼主様が気付いた時には、すでにかなり進行していると言うことが多くあります。

悪化していくと老廃物や毒素を排出できなくなってしまうため尿毒症を引き起こしてしまいます。

尿毒症は、けいれんや昏睡などを引き起こし、慢性的な尿毒症状態になると完治することが難しくなります。

貧血や疲労感、食欲の低下や嘔吐と言った症状が見られ、体重も減ってしまいます。

・原因・・・リンの過剰摂取やカルシウムが不足した食事を与え続けることで、腎結石が形成されることが原因の一つに挙げられます。

腎炎などの腎臓疾患が原因の時もあり、ネフロンと呼ばれる、体内の血液をろ過し尿を精製する器官が破壊されて起こることもあります。

その場合体内のリンをうまく排出できずに長期的な腎不全を引き起こしてしまいます。
糖尿病や腫瘍、遺伝などの先天性疾患が原因の時もあります。

・治療・・・腎臓の機能は、一度失われると機能を回復することはできません。
それ以上の悪化を防ぐために点滴治療やホルモン剤などの薬物療法を行います。
同時にリンを抑えた食事療法も行います。

尿路結石

犬の現代病とも言われている尿路結石も、飼主様を悩ませる病気です。

・原因…尿路結石とは、尿を作り出す器官にカルシウムなどのミネラルが結晶化して結石となったことを言います。

ドライフード中心の現代の愛犬に多くみられる症状で、水分が少なくミネラルが多い食事を与えていると、体内の余剰分が腎臓で処理されて尿として排出されます。

ミネラルはミネラルの成分同士で、くっつきあう性質があるため余剰分が引き合い大きくなり結晶化していきます。

結石ができる場所は複数あり、部位によって症状や治療法が変わってきます。
膀胱にできる場合が一番多く、膀胱の中で結石が動くことで痛みや傷が出来てしまいます。
血尿や頻尿が起き、傷ついた膀胱の粘膜から感染や炎症を引き起こしてしまいます。

尿道にできる場合は、細い尿道を結石が塞いでしまうことがあります。
特に男の子に多く、尿道が完全に塞がれて（閉塞）しまうと尿が出なくなり体内に毒素が溜まってしまい尿毒症になってしまいます。

この場合は非常に危険ですので、すぐに病院へ行きましょう。
塞ぎ切る前には頻尿になったり血尿が出てしまう事があります。

また、キラキラとしたとても小さな石のようなものがおしっこに混じっていることがありますので、トイレシートで見つけた場合も、かかりつけの先生に相談しましょう。

・治療・・・食事療法と手術があります。
結石の中でも特によく起こるのが、マグネシウムからできる「ストルバイト結石」とカルシウムからできる「シュウ酸カルシウム結石」の2種類です。

現代の愛犬のメインフードはドライフード。
水分が足りずに水分不足であったり、添加物を多く含むおやつやジャーキーをたくさん食べていると、結石ができやすい子が多いのです。

・ストルバイト結石の時は・・・ミネラルを過剰に取らずに良質なたんぱく質と水分を多く含んだ食事をすることで、ストルバイト結石は防ぎやすくなります。

リン酸アンモニウムマグネシウムがストルバイト結石の原因と言われていますので、尿を酸性にする食事をとることでできにくくなるとも言われています。

治療も同じで、抗生物質の投与と、カルシウムとリンを抑えた持続的な食事療法が必要となります。

・シュウ酸カルシウム結石の時は・・・シュウ酸カルシウム結石はカルシウムを多くとりすぎることでなりやすく、ステルバイト結石からも発症されます。

また、男の子になりやすいので、性ホルモンも関係していると言われています。
そして、残念ながらシュウ酸カルシウム結石はお薬や食事療法ではなかなか治療が難しいのです。

お薬で小さくすることが出来れば薬と食事療法の併用での治療ができますが、お薬の効果が出ないときは外科的な治療、手術が必要となってきます。

手術で摘出したあとは、カルシウムと水分量を調整した食事を続ける必要があります。

どちらの結石の場合でも、大きく溶解ができない場合は外科的手術が必要となってきます。

結石の原因である食事を見直すことで予防することができる病気です。
結石を防ぐにはまずは水分を多くとらせること、おしっこを我慢させないこと、そして食事です。

ストルバイト結石を防ぐにはリンとマグネシウムを多く含むものは控えめにしましょう。
具体的には肉類に多くのリンが含まれます。特に鳥のささみが原材料のジャーキーは高リンです。

ドライフードのほとんどが肉が原料のフードですので、おやつやトッピングで過剰に与えないようにしましょう。

健康に良いからと野菜を多く与え過ぎるのも禁物です。
ホウレンソウや大豆製品にはマグネシウムが多く含まれていますので、ステルバイト結石が気になる場合は避ましょう。

シュウ酸カルシウム結石を防ぐときには、シュウ酸を控える必要があるのですが、葉物の野菜にとくに多く含まれています。あまりあげないようにしましょう。

涙やけ

愛らしい目の下にくっきりと赤茶けた跡が残る涙やけ。
食事が原因で起こることが多いこの涙やけは、食事を変えて体質を変えてあげるとなりにくくなります。

元々の体質や病気ではない場合は、食事を見直すと軽減されることが多いです。

食事を見直してみる。

体質に合わない食事をしていると起きやすくなりますので、おうちの子に合った内容のフードを探しましょう。

良質な動物性たんぱく質を多く含んだ食事は消化されやすく、涙やけの原因となる涙管を詰まらせる原因となる老廃物の排出が少なくなります。

高たんぱくでも質が悪かったり添加物が多いものを与えていると、涙が多く出る原因となり、それが涙管を詰まらせ涙があふれて目の下を常に濡らした状態にしてしまいます。

ドライフードに多く含まれている小麦やトウモロコシといった穀類は愛犬にとって消化が悪く、アレルギーも引き起こす原因ともなります。

消化の良い食べ物では生肉がもっとも消化が良く老廃物が溜まりにくくなります。
涙やけに良いと言うプレミアフードをあげていてもやっぱり涙がいっぱい出てくる、とお悩みの方には、生肉は一度試してもらいたい涙やけ解消アイテムです。

いつものドライフードを減らして、生肉トッピングにトライしてみてはいかがでしょう。

歯周病

3歳を超えたらほとんどの愛犬たちに、なんらかのトラブルがあると言われている歯の健康。

お口の中の代表的な病気である歯周病は身近で怖い病気です。
歯周病は、歯の健康だけではなく体全体に影響します。

歯と歯茎が弱り炎症を起こしていき、その炎症が悪化していくと骨や歯の根を溶かしてしまいます。

歯周病の前段階である、炎症を起こしている歯肉炎と言う段階では治療も可能ですが、歯の根や骨が溶け出した段階の歯周病になると完治は難しくなってしまいます。

そして、歯周病は炎症により毒素が体内に入り粘膜感染をすると、内臓にまで影響を与えてしまいます。

歯から心臓、肝臓、腎臓など重要な臓器に悪影響を及ぼしてしまう歯周病。
日々のケアが必要になってきます。

歯の健康のために

歯の健康を守るには、日々のケアが必要になってきます。

毎日食後の歯磨きをすることが一番効果的ですが、歯磨きが苦手な子にはほかの手段でケアしていきましょう。

お口を触る事が出来る場合は、歯石を取るシートやジェル歯磨きを使って指でのケア。
お口が苦手な子は、いつものお水に入れて飲む口腔ケアアイテム。

口内環境には乳酸菌が効果的なので、いつものご飯に振りかける乳酸菌や乳酸菌が豊富に含まれた歯磨きサプリなどがおススメです。

噛むことでケアになる歯磨きガムもお手軽です。

その中でも、生の鳥の骨での歯磨きも、効果が抜群です。
夢中になる美味しさで骨を噛むことで歯垢を落とすとともに、骨に含まれる豊富な栄養が効率よく吸収されます。

歯磨きだけの効果ではなくアゴの強化や脳への刺激、酵素や乳酸菌なども補給できます。
大切な歯を守るために、無理なく続けられる日々のケアを見つけましょう。

最後に

食生活や環境が変わり、愛犬たちの寿命も年々伸びています。
健康で長く生きてほしい、全ての飼主様の想いは同じです。

長く生きることができるようになった分、今までなかった病気が増えてきているのもまた事実です。

現代病と呼ばれる病気とどう向き合うか、健康でいるためにはどうすればいいのか。
現代の飼主様の悩みは尽きませんが、日々の積み重ねで健康は作られていきます。

いつもの食生活を少し見直し、健康的で愛犬の食性にあった食事と、ストレスの少ない環境が長生きの第一歩です。

小さな変化を見逃さず、少しの時間をかけることで愛犬たちの健康な生活が続いていきます。

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