
愛犬家の皆さん、ワンちゃんに関する法律、気にかけられたことがございますか?
ワンちゃんを家に迎えるとき、ワンちゃんのご飯はどうするか、寝るところやトイレ、散歩グッズなどについては、ワクワクしながら準備されるかと思いますが、法律を調べて知っておく、というところまでは思いつかなかったりするんですよね。
というわけで、ここではワンちゃんの飼い主なら押さえておきたい、飼い犬関連の法律や、罰則規定についてご紹介しています。
目次
ワンちゃんを飼うと、どんな法律が関係してくるの?
ワンちゃんを飼うと、私たち飼い主にはいろいろな責任が生じてきます。
中でも法で決められているものは、必ず守らなければなりませんよね?
ここでは、最低限義務として定めづけられている法律を見ていってみましょう。
ワンちゃんの愛犬登録
これも、狂犬病予防法(第4条)の規定ですが、ワンちゃんを飼ったら30日以内にワンちゃんのいる管轄の市区町村に登録申請をしなければいけないという法律があります。
生後90日以内のワンちゃんの場合は、90日を過ぎた日から30日以内に管轄の市町村長への登録申請が必要とのことです。
登録をすると犬鑑札がいただけるので、首輪に着けましょう。
★愛犬登録に必要なもの★
→狂犬病予防注射を打った注射済証明書
→手数料3,000円
市区町村以外に、動物病院で代行して登録できる場合もあるそうなので、掛かりつけの動物病院に確認してみるのもよいですね!
愛犬登録しなかった場合の罰則は?
愛犬登録は狂犬病予防法第27条により定められているため、ワンちゃんの登録申請を怠ると20万円以下の罰金が科せられることがあるそうです!
ワンちゃんの登録申請は基本的にワンちゃんの生涯に1回でよいとされていますが、引越したり、飼い主が変わったらワンちゃんが住む予定の市区町村に届け出をしなくてはなりません。
ワンちゃんが死亡した場合にも死亡届を提出する義務があるそうですし、マイクロチップ情報の登録も必要です。
直接窓口に行くか、インターネットで手続きができるということですが、詳しくはお住いの市区町村の窓口にお問い合わせしてください。
狂犬病ワクチンの接種 狂犬病予防法
皆さんがご存じかと思われるワンちゃんについて決められている法律が、狂犬病予防法です!
混合ワクチンなどは、法律で義務付けられていませんが、狂犬病のワクチンは年1回摂取させる、という法律があるのです。
公園などにワンちゃんを連れた人たちがたくさん集まっているのを見たことがある、という方も多くいらっしゃるかと思います。
そう、あの春の季節に開催されるワンちゃんの集会も、狂犬病の集団接種会場なのですね。
ワンちゃんの登録をしておけば、市区町村から“注射済票交付申請書”という、予防接種のお知らせのハガキが届くかと思います。
必ず摂取するようにしましょう!
ちなみに、市区町村の集団接種の日に都合が悪ければ、動物病院でも摂取できますので、ご安心ください。
注射を打たなかったらどうなるの?
狂犬病予防法では生後九十一日以上のワンちゃんを所有している者は、「狂犬病の予防注射を四月一日から六月三十日までの間に一回受けさせなければならない。」という法律が決まっており、罰則(第二十七条)では、「二十万円以下の罰金に処する。」とあります。
注射の回避・猶予できるケースもあり
老犬や高齢犬、また健康的な理由により、獣医師が摂取をしないほうが良いといった判断をした場合、狂犬病の予防接種が猶予されることもあるそうです。
その場合は、掛かりつけの獣医さんに猶予証明書をもらい、市区町村の役所や保健所に提出することとなっておりますので、お忘れなく!
愛犬への虐待の禁止や適正な飼育を行う 動物愛護管理法第二条
ワンちゃんを飼ったら、飼い主さんは適正な飼育を行うこと、虐待をしないことが法律で定められています。
法律では、ワンちゃんをみだりに殺したり、苦しめるといった虐待行為の禁止、ワンちゃんに適切なご飯やお水を与えること、習性を考慮した飼育、健康管理といったことが定められています。
飼い主さんとしては当たり前ともいえることでしが、法律上でも定められているのですね。
劣悪な環境で飼育されているワンちゃんもいるので、そういったワンちゃんを怖い人間から守ってくれる法律でもあるわけです。
もしワンちゃんを虐待したり、適性飼育していないとどうなるの?
動物愛護管理法第四十四条には、ペットに関して「愛護動物をみだりに殺したり傷付けた者は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処する」という罰則を設けています。
また、適切な餌や水分を与えないこと、動物に過酷な労働をさせること、拘束することで衰弱させること、排せつ物を適切に処理しないこと、遺棄することなどは「100万円以下の罰金」が科せられるとしています。
ワンちゃんたちペットは、こういった法律に守られているのです。
動物の所有者または占有者の責務等 第七条
動物愛護管理法第七条には、動物の所有者に対しての責務が明記されています。
内容としては、
→ワンちゃんが他の人の命、身体や財産に害を与えないように管理すること
→生活環境の保安上の支障を生じさせないようにすること
→人に迷惑をかけないこと
→感染症について学び、予防のために注意を払うこと
→脱走できないように必要な対応をすること
→死ぬまでしっかり面倒を見ること
→繁殖の管理を行うこと
などが定められています。
自分のペットが、他人に危害を加えたり、生活環境を脅かす存在にならないよう適切に管理することや、飼えないくらいの数のワンちゃんを繁殖させてしまう、といったことがないように管理することが、飼い主さんの義務なんです。
ワンちゃんが人を噛んでしまった!どんな罰則があるの?
「人を噛んでしまったら、どうしよう?!」
ワンちゃんを飼っている人なら、一度は考えたことがあるでしょう。
いくら可愛いワンちゃんでも、人を噛んで怪我をさせてしまったら、それなりの罰則を負うことを知っておくのは、気を引き締める意味でもよいでしょう。
というわけで、ここでは万が一ワンちゃんが人を噛んでしまった場合について、調べてみました。
ワンちゃんが人を噛んでしまった場合の法律
ワンちゃんが人を噛んでしまった場合、動物の占有者等として民法718条において損害賠償責任を負うこととなります。
犯罪として成立する可能性がある罪状としては、「過失傷害罪」「重過失傷害罪」などだそうです。
過失傷害罪(刑法209条1項)の場合、過失により人に怪我を負わせてしまった場合で、法定刑は「30万円以下の罰金または科料」となるとのこと。
飼い主さんが注意を怠ったと判断され、この過失傷害罪の対象となることがあるようです。
重過失傷害罪(刑法211条後段)が適用されるケースとしては、例えば放し飼いで外を散歩していて、ケガをさせてしまった場合ですね。
この場合は飼い主さんの重大な過失により他人を傷害したということで、法定刑は「5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」となるそうです。
放し飼いで散歩をしている飼い主さんはあまり見かけませんが、放し飼いはリスクが大きいことは知っておきましょう。
また、過失傷害罪については、噛まれてしまった人が刑事告訴した場合に適用されますので、その前の段階で示談になれば罪に問われません。
噛まれた方の怒りが収まらない等で、告訴される場合もありますが、示談金で解決できる場合も多いようです。
ワンちゃんが人に噛みついてしまっても無罪の場合とは?
動物の種類・性質に従い、相当の注意をもってその管理をしたことを証明することができれば、動物の占有者等は損害賠償責任を免れることもあるそうです。
例えば、無断で家に入ってきた人に対して噛みついてしまった場合などですね。
仲良しの友人がいたとしましょう。
どんなに仲の良い友人でも、無断で家に入ってくるなんてこと、飼い主さんも想定していませんよね。
そして家の中なので、飼い犬であるワンちゃんは自由に歩き回れる。
ワンちゃんとしては不審な人が入ってきたと思うでしょうし、本能で守らなくちゃと思ったはずです。
その状態で噛みついてしまっても、来客者のケガについては、損害賠償責任が発生することはないとのことでした。
人ではなく他の犬を噛んでしまった場合は?
人ではなく、他のワンちゃんにケガをさせてしまった場合は、どうなるのでしょうか?
まず、被害を受けたのが人間ではないため、過失傷害罪には問われないということです。
ただし、ケガをさせたワンちゃんの飼い主が怒って、民事訴訟を提起した場合は、損害賠償を請求されることもあるそう。
民法 第718条には、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。」となっています。
噛みついてしまった後の対応は?
万が一、自分のワンコが他の人やワンちゃんを噛んで怪我をさせてしまった場合、どうしたらよいのでしょうか?
まずはしっかり謝罪し、病院への通院代、治療費、賠償金を支払うこととなると思います。
その場合、自分や家族に個人賠償責任・特約に加入している人がいないか考えてみましょう。
他の人を傷つけたり、他の人の所有物を壊したりした場合に、治療費や賠償金、修理代や買換え代を支払うための保険なので、ワンちゃんにも適用されるようです。
全てがすべてではないので、自分の加入した保険に問い合わせるのが一番確実ですが…。
ペット保険にも特約でつけることができるようなので、これを機に検討してみるのもよいと思います!
終わりに
いかがでしたか?
うちのワンコは温厚だから、人やワンちゃんを噛むことなんてありえない…と思っていても、万が一ということは常に頭に入れておきたいですよね。
また、逆に万一噛まれてしまったら、訴えるのか示談にするのかも、ケースバイケースとは思いますが、流れとして覚えておくといつか役立つかもしれません。
こういったことにならないよう、しっかりワンちゃんへの責任をもって行動したいものですね。
〇参照
・飼い犬に関連する『法律や規則』5選!飼い主さんは必ず知っておいて!
・飼い犬が近所の住民を噛んでしまった…犯罪の責任を問われる可能性は?
・飼い犬が他の人・犬にケガさせた!治療費や賠償金はどうなる?




