ワンちゃんと言葉

今まで、ワンちゃん同士は例えば国が違っても、コミュニケーションが取れるのかどうか、気になったことがある方はいらっしゃいませんか?

アメリカのワンちゃんと日本のワンちゃんの場合、やはりアメリカで育ったワンちゃんは犬でも英語を話し、日本のワンちゃんは日本語を話しているのではないか…。
そんな疑問が、頭を過ったことはないですか?

例えば、日本のワンちゃんは「おすわり」で座りますが、英語圏のワンちゃんは「Sit」で座りますよね。

人間の話す言葉が違うように、ワンちゃんたちも違う言葉を話していて、ワンちゃん同士も海外のワンちゃんと日本のワンちゃんは、コミュニケーションが取れないのでしょうか?
ここでは、ワンちゃんの言葉の秘密について探ってみましょう。

うちのワンコ、他のワンちゃんたちと会話をしているの?

私たち人間の耳には聞き取ることはできませんが、例えばイルカみたいに何か周波を出してワンちゃん同士は会話をしているのでしょうか?

ドッグランや散歩をしている途中で、他のワンちゃんと一緒になることがあると思います。
立ち止まって飼い主さん同士が会話を交わしているとき、ワンちゃんたちも会話を交わしているような気がしますよね。

もちろんワンちゃん嫌いのワンちゃんは、吠えてしまいそれどころではないのですが…。
「ワンワン」「わんわん」
といった感じで、言葉を発してワンちゃんが会話をしているわけではないのは確かですよね。

実はワンちゃんは、仕草によって意思疎通を交わしているのだそうです。
もちろん人間も、仕草を見て相手の感情を読み取ることができたりしますよね。
嫌そうな顔をされれば、いわれなくても距離を取りますし、ニッコリされれば気分的になんだか安心できます。

ワンちゃん同士もこのような感じで、仕草を通して相手に自分の意思を伝えているのだそうですよ。

例えばワンちゃん同士が出会った時、他のワンちゃんの存在をまったく無視するようなワンちゃんがいたり、飼い主の顔を見ながら出方を考えているようなそぶりを見せる、心配性な雰囲気の子もいたりします。

実はこの「無関心」「飼い主さんの顔をチェック」の裏で、ワンちゃん的には、相手のワンちゃんに「敵意はないですよ~」と仕草で伝えているつもりらしいですよ。

飼い主さんには、まったく伝わっていないかもしれませんが、ワンちゃん同士では伝わっているそうです。
もともとワンちゃんは、他の犬に出会った時に興奮しているのだそうです。
けれど、相手を無視しているふりをして、その間に自分を落ち着かせているとも考えられるとのことなんですね。

なので、ワンちゃん的には
「君のこと嫌ってないよ!」
「僕は敵じゃないですよ~」
といった感じで話をしているつもりなのでしょう。

仕草で会話をするワンちゃんたちなので、アメリカのワンちゃんも日本のワンちゃんも、実は世界共通の仕草でコミュニケーションをとるのは可能なんだといえるようです。
散歩の最中やドッグランでワンちゃんと一緒になったら、ワンちゃん同士の会話タイムの間、少し待ってあげましょう。

お互いのワンちゃんが落ち着いて、仲良くなれるかどうかを仕草で確認しあうには時間がかかるそうなので、飼い主さんは焦らず、急かさず、見守ってあげましょう!

お尻のニオイを嗅ぐのもコミュニケーション

ワンちゃんって、お尻の匂いを嗅ぎあいますよね。
飼い主さん的には恥ずかしいので止めてほしい行為なんですが、実はこれ、ワンちゃんにとっては結構重要な行動なんです。

お尻周辺の匂いには、発情期のフェロモン以外にも、性別、年齢、強さ、健康状態といった個人(犬?)情報が含まれているのだそうですよ!

しかもお尻の匂いで、攻撃的な気分なのか友好的な気分なのかもわかっちゃうんですって。
もちろん、男の子のワンちゃんが女の子のワンちゃんにしつこくしているときは、
「可愛いね~!僕と付き合わない?」
と言っているのかもしれませんが、しつこくされて女の子が“イヤ!”と思えば、その気持ちもお尻からキャッチできちゃうわけなんです。
便利ですね!

ワンちゃん同士で接触したとき、攻撃的にならないのであれば、名刺交換がスムーズにいったサインです!
リラックスした雰囲気になっているのであれば、遊ばせてあげるとよいですね。
お友達になれるかも?

逆に唸り声をあげていたりしたら、接触失敗!
何か気に食わないことがあるのでしょうから、その場を離れましょう。

ワンちゃんはコミュニケーションをどうやって学ぶの?

ワンちゃんたちは、仕草によってコミュニケーションを取りますが、その方法を自分のお父さんやお母さん、兄弟たちと触れ合うことで学ぶそうです。

そのため、早くにお父さんお母さん、兄弟たちから離されたワンちゃんは、コミュニケーション手段を学べていないため、接触の仕方がヘタな子もいるそう。

お尻の匂いの情報でコミュニケーションを交わすこともできますが、お尻を嗅がれるのを嫌がる子もいるので、そういった場合はいきなりお尻の匂いを嗅いだら怒られて、怖い思いをしながら学ぶことになってしまうのかもしれません。

相手のワンちゃんの出方を見る方法を飼い主さんが教えるわけにはいきませんが、ちょっとだけ距離を取って、すぐに近くに行かせずに様子を見せてあげると、相手のワンちゃんも落ち着いて接する準部を整えることができるでしょう。

コミュニケーションがヘタなワンちゃんには、飼い主さんがちょっとだけ気を利かせてあげるとよいかもしれませんね!

ワンちゃんは飼い主の言葉を理解している?

余談ですが、私たち人間はワンちゃんの言葉は理解できませんが、ワンちゃんはどうやら理解しているらしいということがわかっています。

ハンガリーにあるエトベシュ・ロラーンド大学の動物行動学者アッティラ・アンディクスという方は、哺乳類の脳が言語を処理する方法を解明する一手段として、ワンちゃんの研究をしているそうです。

2014年、アンディクスさんたち研究者は、研究対象としていた13匹のワンちゃんが、人間や他の犬のうなり声や吠えた声、クンクンと泣いている声や叫んでいることを聞いたときに、ワンちゃんたちの脳がどう反応するかを調べていたのだそうです。

その結果、人間も犬も、幸福感や恐怖感を表す声に対し、脳の同じような場所が活性化することが分かったそうです。
実はワンちゃんと人間の脳は似ているらしいのです!

しかもこの同じ13匹のワンちゃんたちに、今度はそれぞれの飼い主が内容や言い方を変えた言葉を録音で聞かせたそうなんですね。

賢いね、いい子だねといった褒め言葉を心から賞賛している声で録音したものと、別に誉め言葉ではない言葉を褒めているトーンではなく録音したもの、誉め言葉を褒めているトーンではなく普通のトーンで録音したものと、誉め言葉ではない言葉を褒めているようなトーンで録音したもの、この4パターンを聞かせたのだそう。

結果として、ワンちゃんの脳画像を解析すると左半球が単語そのものに反応し、右半球がそのときのイントネーション(声のトーン)に反応していることが分かったとのこと。

どういうことかというと、ワンちゃんが飼い主が本当に褒めているかどうかは、誉め言葉を褒めているトーンで聞くことで理解するため、飼い主が本当に褒めているのかどうか、わかっているとのことでした。
ワンちゃんにウソは通じないということが、わかりましたね。

終わりに

いかがでしたか?
ワンちゃんは仕草で相手とコミュニケーションを交わしている、ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

ということは、海外のどこのワンちゃんとも、日本のワンちゃんはコミュニケーションが取れるということなのです。

例えば、海外に住んでいたワンちゃんを引越しで日本に連れて帰ってくるときや、日本から海外にワンちゃんを連れて引越しをする場合も、ワンちゃん同士の言葉の壁は気にしなくて大丈夫ということです!

もちろん、ワンちゃんへの指示は、英語と日本語なので違いますから、逆に飼い主以外の人間の言葉は全くわからないでしょうけれどね…。

また、ワンちゃん同士で会話をさせてあげるときは
相手のワンちゃんと接するまで時間を十分に取ってあげる
接触した時にどんな状態かを観察し、リラックスしている様子なら安心(とはいえ、用心するに越したことはないのですが)、唸り声をあげたりうまくいかなかったら、サッとその場を離れる
お尻の匂いを嗅ぎあうのは失礼ではないので、安心してOK
ということを頭の片隅に置いておいてくださいね。

●参照
犬は飼い主の言葉を理解している、脳研究で判明

犬同士どんな会話をしているの?気になる犬同士の会話内容や会話方法を紹介!