
朝のフランス。
石畳をのんびり歩く音や、焼きたてのクロワッサンの香り。
まだ眠たそうな空を見上げながら、街はゆっくり目を覚ましていきます。
そんな朝の風景の中に、溶け込んでいるのが小さな家族。
犬好きの日本のみなさんがフランス旅行に行くと一番初めに気づくこと、それが犬たちがどこにでもいる文化ということではないでしょうか。
そう、フランスでは、ワンコはただのペットではありません。
もっと近くて、もっと自然で、もっと暮らしに溶け込んだ存在。
まるで昔から当たり前のように、犬たちは人と一緒に街を歩き、カフェでくつろぎ、マルシェを巡り、季節を楽しんでいます。
日本の私たちが言う「犬と暮らす」ということは、一緒に暮らしを送る、というよりもニュアンス的には「飼う」という感覚がまだ少し強いかもしれませんね。
でもフランスでは、「一緒に生きる」がしっくりきます。
今回はそんな、フランスの街に息づく“犬と人の幸せな関係”をのぞいてみましょう!
目次
フランスのワンコはおとなしい?
みなさんのご近所で、犬を散歩させている方たちは、静かにのんびり散歩をされている方が多いでしょうか?
それとも、あっちのワンコに吠え、こっちの人に吠え、トラックのタイヤに飛び込もうとしたり…なんて姿が見られますか?
フランスの街を歩いていると驚くのが、不思議なほど飼い犬たちが落ち着いていることです。
リードを引っ張って大騒ぎしているワンコは、実際あまり見かけません。
飼い主の横を、まるで長年連れ添った友達みたいに歩いています。
小さなパン屋さんのお店の前では、かわいらしいワンコたちがお利口に待っている姿を頻繁に見かけます。
扉が開くたびに漂ってくるバターの香り。
ガラスケースの中には焼きたてのタルト。
そして店から出てきた飼い主を見つけると、ワンコたちは「やっと出てきたね」とでも言いたげに尻尾を振るのです。
その姿がもう、本当に絵本みたい。
でも、誰もその場面に特別に注目しないのです!
日本人の私たちが感動する場面でも、犬がそこにいて、お利口にしているのが、“普通”だからなのです!
どこにでもいる犬たち!カフェにもレストランにも旅行先にも
フランスといえばカフェ文化。
テラス席でコーヒーを飲みながら、おしゃべりをしたり、本を読んだり、ただぼーっと通りを眺めたり。
時間を急がずに過ごす空気が、街全体に流れています。
そして、そのカフェ文化の中にも、犬たちは自然に溶け込んでしまっているのです。
日本の軽井沢のワンコOKカフェさながら、おしゃれなマダムの足元で丸くなるふわふわの小型犬や、新聞を読むおじいさんの隣で眠るラブラドール、恋人同士の会話を静かに聞いているフレンチブルドッグが当たり前の世界。
しかも、どの子もお利口で騒がず、ちゃんとその場に“参加”している感じなんです。
時々、ワンコ用に店員さんが水を持ってきてくれることもあります。
「Bonjour(こんにちは)」みたいな顔で見上げるワンコに、「待っててえらいね」と笑う店員さん。
そんな小さなやりとりが、フランスの街角にはたくさんあります。
もちろん、バカンスのために働いているという方の多いフランス、犬たちも一緒に連れていきます。
フランスの犬たちがどこでも人と過ごせる理由
日本でももちろん犬は愛されていますが、フランスでも犬はとても愛されています。
けれどワンコたちは、お犬様的な扱いを受けているわけではありません。
日本では若干、お犬様的になっているところもありますが、フランスでは人間と同じ社会の中で、一緒に暮らしているという感覚です。
そのためワンコたちは、小さい頃から「人と暮らす練習」をしていくのです。
地下鉄に乗る。
人混みを歩く。
カフェで待つ。
他の犬とすれ違う。
そういう日常を通して、“街で生きる力”を身につけていくのです。
フランスの人たちは、「犬を自由にすること」と「好き放題にさせること」は違うと考えています。
きちんと社会性を教える。
だからこそ、犬たちもどこでも歓迎される。
それはまるで、子どもを社会の中で育てる感覚に少し似ているように思います。
バカンスにも、もちろん一緒。
フランス人はバカンスをとても大切にします。
夏になると、海辺の町や田舎のコテージへ出かける人が増えます。
その車の後部座席を見ると、そこにはだいたいうれしそうなワンコがいるのです。
窓から風を感じながら外を見る犬。
サービスエリアで一緒に散歩する家族。
湖のそばを歩くゴールデンレトリバー。
フランスでは、「旅行中は犬を預けて出かける」より、「一緒に行く」が自然なのです。
旅も日常も、全部一緒。
だからワンコは飼い主さんと、人生そのものを共有しているのですね。
フランス流ワンコの育て方
フランスの犬たちは、生まれつきおとなしいわけではありません。
おとなしい理由の裏側には、フランスならではの“しつけ文化”があるのです。
でもそのしつけは、日本でイメージするような「厳しく訓練する」という感じとは少し違うのです。
フランスの人たちは、犬は“管理”するというより、「人間社会の中で一緒に暮らせるように育てる」という感覚を持っているようです。
フランスでは、子犬を迎えた瞬間から「社会の一員」として教えていく飼い主さんが多いようです。
そのため、子犬の頃から、
・人に慣れる
・音に慣れる
・カフェで待つ
・他の犬とすれ違う
・電車や車に乗る
といった経験をたくさん積まされ、飼い主さんと行動を共にすることで犬たちも自然に覚えていくのです。
無理やり厳しくしつけ、覚えさせていくわけではないのです。
日本では子犬の時は、「まだ小さいからかわいそう」「迷惑をかけるかも」と、ある程度大きくなるまで外の世界を避けることもありますよね。
そこが、フランスでは逆なわけなのですね。
その結果、犬たちは自然と「人間社会のルール」を覚えていくのです。
何も高いレッスン料を支払って、躾てもらっているわけではないのです。
フランスのワンコは「待て」が上手
フランスの犬文化を見ていて特に大きな違いを感じることは、犬たちが“待つ”ことに慣れているということです。
パン屋、カフェ、市場、駅で、か飼い主さんを静かに待っている。
でもそれは、「我慢させられている」という空気ではなく、不思議と「僕は今、待つ時間なんだな」と理解しているように見えるのです。
そこにはどうやらフランス流のしつけである、「興奮し続けないこと」というポイントも隠れているようです。
例えば日本では、ワンコが元気でパワフルにテンションMAXでいると、元気でかわいいね、幸せだねって思うかもしれません。
ところがフランスでは、そうは思わないようです。
「落ち着いていられること」
「人間と穏やかに時間を共有できること」
を大切にしているので、落ち着いて行動できないことはあまりよく思われないようなのです。
そのため、犬がずっと吠えたり、人や他の犬に飛びついたりすると、「犬が悪い」ではなく、「まだ安心して過ごせていないんだね」という見方をする人が多いのだそうですよ。
日本のしつけは、「ダメ!」とワンコに言うイメージがありますよね。
フランスは「ダメ!」を教えるのではなく、「社会の中で当たり前」を教える感じのようです。
そう、犬を怒鳴るよりも、犬たちが自然と覚えられる「習慣」として教えているのです。
人間が食事中は静かに待ち、人の前を急に横切らないこと。
カフェやレストランでは、足元で静かに待つこと。
こういったことを、毎日の暮らしの中で自然に繰り返されることで、無理なく覚えることができるのです。
要するに、生活を送ることがしつけに繋がっているわけなのですね。
なのでワンコもいい子に待っていたからご褒美、といった感覚ではなく、いつものことをしているだけなのです。
そして飼い主さんたちも、うちの子は理解できてる、人と暮らすことができると信じているのですね。
芸をしつけるのではなく、人と一緒に幸せに暮らせるように、社会性を自然と身に着けさせる。
ここが、フランスの犬文化の素敵な部分ともいえるでしょう。
フランスの犬文化まとめ
フランスの街を歩いていると、本当に犬たちはいつも人の暮らしのすぐ隣にいるのだなと気づかされると思います。
朝、アパルトマンの扉が開く音と一緒に外へ出てきて、飼い主と並んで石畳の道を歩く毛むくじゃらのワンコ。
公園のベンチで読書をする人の足元で、気持ちよさそうに昼寝をしているワンコ。
夕方になると、家族みんなで川沿いを散歩しながら、今日あった出来事を話している。
そんな風景が、フランスでは特別なものではなく、“いつもの日常”として存在しているのです。
「犬をかわいがる」という感覚だけではなく、人と犬が、同じ時間を生きているという空気が本当に素晴らしいのです。
そして犬たちの表情はどこか穏やかなのです。
フランス旅行で犬に吠えられる経験をする人は、かなり稀でしょう。
フランスの飼い主さんと犬たちは、一緒に暮らし、一緒に出かけ、人間社会の中で、お互いが心地よく過ごす。
そんな思いが、フランスのしつけ文化には込められているのではないでしょうか。
ワンコたちは、管理されているのではなく、信頼されているように見えるでしょう。
初めから完璧じゃなくてもいい。
少しずつ学びながら、一緒に暮らしていけばいい。
フランスの方は、そんな考え方でワンコを迎えています。
わんこだって人間だって、生きていれば失敗する日がありますよね。
雨の日に泥だらけになることもあるし、気分が乗らない日だってあります。
それでも、「また明日、一緒に歩こうね」と自然に思える関係。
その積み重ねが、“家族”になっていくということなのかもしれませんね。
わんこと暮らすことで、毎日のなかに小さな幸せを見つけ、一緒に季節を感じながら生きること。
フランスの犬文化には、そんな人生の豊かさが静かに流れているのです。
●参照:
・フランスの犬事情総まとめ:フランス 犬 文化と飼い方完全ガイド
・【フランスの犬事情】自由奔放な飼育スタイルを調査!
・「犬のしつけ」をやり直す#1うちのワンコはハラスメント犬!


