ワンちゃんからうつる病気ってあるの?知っておきたいこと

いつも一緒にいるワンちゃん。
テレビを観ているときも、キッチンでお料理をしているときも、掃除をしているときも、PCを叩いているときも、スマホをチェックしているときも、本を読んでいるときも、何をしているときも隣にいる子といえば、ワンちゃんでしょう!

寝るときはベッドは別、というお家と、一緒に寝ているというお家もあるかと思います。
そんな四六時中一緒にいるワンちゃんですが、気になるのがワンちゃんから人間に移るといわれている病気です。

ここでは、なんで昔の人が「犬は外で飼え」というのか、その根拠となりそうなワンちゃんから人に移るといわれている病気についてご紹介していきます。

ワンちゃんから人に感染するといわれている病気ってなに?

ワンちゃんや猫ちゃんから人間に感染する、といわれている病気には、どのようなものがあるのでしょうか?

① コリネバクテリウム・ウルセランス

聞いてもすぐに忘れてしまいそうな複雑な名前の細菌、コリネバクテリウム・ウルセランス。コリネバクテリウム・ウルセランスは細菌で、ワンちゃんや猫ちゃんのほか、牛なんかからも感染するそうです。

国内外で感染報告があるといわれているこの細菌ですが、初めは鼻水が出るなどといった風邪のような症状で、その後喉の痛み、咳が出るそうです。

今の時期だと「コロナかな!」なんて思ってしまいそうですが…。
厚生労働省のホームページで検索してみると、国内の感染事例などが掲載されているので詳細を知ることができますが、死亡した女性もいるようですので、なかなか侮れない細菌なのかもしれません。

ちなみに、治療では抗菌薬で対応していくようです。
症状が進むと、のどに偽膜と呼ばれる白い膜ができることがあるそうで、呼吸困難といった重い症状を起こしたり、リンパが腫れたり、皮膚に症状が出ることもあるそうです。
自分の家のワンちゃんがくしゃみをしていたら、放っておかずに獣医さんに診てもらったほうが良いかもしれませんね。

② パスツレラ属菌

これもまた、覚えていられるかどうかという名前の細菌ですが、パスツレラ属菌という細菌が悪さをするらしいです。

なんでも、健康な犬の約 75%、猫のほぼ 100%が口の中にこの菌を保有し、高齢者、乳幼児、糖尿病や免疫不全の患者など、抵抗力の弱い人が発症するそうです。

症状としては、感染から30分~2日ほどで皮膚や呼吸器に症状が出るそう。
皮膚の症状としては、引っかかれた箇所、噛まれた箇所が腫れ、激痛となるそうで、皮膚の深部で思い炎症が起こることもあるのだとか。

呼吸器系の症状は、軽い風邪のような症状の人もいれば、重篤な肺炎となる方もいらっしゃるそうです。

糖尿病などの基礎疾患がある方の場合は重症化し、骨髄炎や敗血症、最悪死亡例も報告されているとのこと。

犬猫に引っかかれたり噛まれたりしたときや、ペットとの触れ合いで口から感染したりするそうですよ。

持病のある人やお年寄りは、ペットの食べ物を与えるときに、自分の使っているスプーンやお茶碗を気軽に使うことは避けたいですね。

治療は抗菌薬だそうです。
やはり予防としては、ペットを寝室に入れさせないよう徹底することだそうです。

③ サルモネラ感染症

食中毒の代表選手といえば、サルモネラと思いませんか?
まさか、ワンちゃんからサルモネラ感染症になるとは思いもしてなかったと思いますが、実は近年、ペットの犬や猫をはじめ爬虫類や両生類から人へ感染した報告があるのだそうです!

サルモネラ感染症になると、成人では急性胃腸炎になるそうですが、小さなお子さんや高齢者が感染すると症状が重篤化し、菌血症を併発しやすくなるのだそうです。

ワンちゃんが感染した場合の症状としては、嘔吐、下痢、食欲不振、元気がなくなるくらいなので、見過ごされてしまうことがあるようですが、ワンちゃんが感染していると飼い主さんも感染するかもしれないので注意が必要ですね。

ワンちゃんの散歩中の拾い食いや、生肉をフードに混ぜるなどする場合には十分気を付けなくてはなりません。

④ カンピロバクター症

カンピロバクターといえば、人間が食中毒でカンピロバクターに感染していた、なんていう話を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

実際、鶏肉が生焼けでカンピロバクターに感染したなんていう話が感染の原因のほとんどと思われるのですが…。

実は数年前のアメリカのニュースで、気になるニュースがありました!
米疾病対策センター(CDC)が2017年9月11日に、ペットショップの従業員やそのペットショップで子犬を買った人たち計39人がカンピロバクターに感染し発症したと発表、大騒ぎになったようです。

なんでも「ペットランド(Petland)」というチェーン展開しているペットショップでワンちゃんを購入したオハイオ州、フロリダ州、カンザス州など合計7州で感染者がみつかったのだそう。

死亡者は0ですが、39人のうち9人が入院となったとのこと。

今回の感染源は「犬のフン」だそうですが…、日本でも調べたら案外あり得るのかな、と戦慄してしまいますね…!

CDCの調べでは、アメリカ国内で年間約130万人がカンピロバクターに感染し、感染源が食べ物の人が3分の2、残りは動物のフンなどだそう。

「犬は本来生肉を食べる動物であり、生肉を食べさせた方がワンちゃんにとっては良い」といった理由で、わざわざ生肉を食べさせている愛犬家の飼い主さんがいらっしゃるのでしょうが、その生肉の出所がきちんとしているところでないと、こういった問題が出てしまうのかもしれませんね。

ワンちゃんからの感染を防ぐには?

大好きなワンちゃんですが、ワンちゃんから菌を感染しないためにはやはりそれなりの線引きをしないとならないようです。

特にアメリカでは、CDCが犬を飼っている人、これから飼おうと思っている人に対してアドバイスをしてくれています。

その内容というのは…

→ワンちゃんに触ったら石鹸で手を洗う
→ワンちゃんに食事を与えた後も手を洗う
→ワンちゃんの体をふいた後も手を洗う
→手元に石鹸がないときは携帯用の消毒液で手を洗い、その後できるだけ早く石鹸で手を洗う
→ワンちゃんを拭くときは使い捨ての手袋を使用し、その後手洗いをする
→尿、フン、嘔吐物の掃除は速やかにおこない、汚染された場所は消毒する
→飼い主さんはワンちゃんに口や顔、傷やあれている皮膚をなめさせてはいけない
→定期的に獣医さんに診てもらう

だそう。
うーん、なかなかハードル高いですね…。
というわけで、今度な日本の注意喚起をチェックしてみたところ、下記のように推奨しています。

→口移しで食べ物を与えるなどの濃厚な接触はしない。
→ワンちゃんに触れる前後や、フンが手についたりしたときは、必ず手洗い消毒をする
→ワンちゃんの飼育場所は清潔にし、フンや尿の始末はこまめに行う
→清掃するときは、フンや尿が周囲に飛び散らないように注意し、十分に換気をし、ホコリを吸い込まないようにする
→清掃後は手洗いを十分に行う
→生肉のままで与えないようにし、充分に加熱する
→生野菜を与えるときは充分に洗う
→室内飼育の場合は換気を心掛ける
→ワンちゃんの健康状態に注意し、異常がある場合は速やかに動物病院を受診する。
→定期検診を受け、病気の早期発見に努める
→飼い主が健康不良で医療機関に受診する場合、ペットの飼育状況についても医師に説明する
→ワンちゃんの飼い主は、飼い犬登録と毎年狂犬病予防注射を受けさせる
→散歩時のフンの後始末は必ず飼い主がおこなう
→おしっこも周囲に迷惑をかけない場所を選んでさせ、水で流す
→飼育場所で排泄を済ませてから散歩に行くようにしつけをする

だそう。
まずはできるところから、始めますか!

終わりに

ペットから人間に感染する細菌や原虫。
食中毒が原因かと思いきや、ペットが原因ということもありうることがわかってきたようです。

すでにワンちゃんと一緒に寝ている方はたくさんいらっしゃるかと思います。
常識的な部分以外は、出来る範囲で、対応することにしていくしかないですよね。

これから飼う人は、ワンちゃんと一緒に寝ること、ワンちゃんに自分の口などを舐めさせることは避ける等、心掛けていくとよいでしょうね!

■参照:
・動物からうつる病気(動物由来感染症)について
https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000002200.html
・コリネバクテリウム・ウルセランスに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/corynebacterium_02.html
・小動物獣医療関係者向け情報
https://jp.mypetandi.com/vet/infection/zoonosis/pasteurellosis.html
https://jp.mypetandi.com/vet/infection/zoonosis/toxoplasmosis.html
・サルモネラ感染症 (人畜共通感染症)
http://koyama-ah.com/archives/515

・食中毒の原因カンピロバクターが子犬から感染
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20180306/med/00m/010/012000c

家禽、家畜、ペット、野生動物などが腸管内に保菌するカンピロバクター菌が原因で、発熱、下痢、嘔吐、血便等の症状を示します。犬や猫に生肉を与えないこと、特に鶏肉はカンピロバクターに汚染されていることが多いので与えないことが予防となります。